『ユニコーンに乗って』ようやく想いが通じ合った佐奈と功 永野芽郁がCEOの“鎧”を脱ぐ

 かつての“貧乏少女”佐奈(永野芽郁)は、自分が起業家になる決意を固めた大学の講義に、今度は自身が学生を前に講義する側として立っている。そして、あの時、羽田(広末涼子)が力強く背中を押してくれたように、たくさんの不安と少しの期待に押し潰されそうな学生の夢を佐奈が後押しする。もちろん聴講生の中には、ここでこれまでの自身を根幹から揺るがされるような“貧乏少女”との鮮烈な出会いを果たし、その夢に巻き込まれた功(杉野遥亮)がいて、佐奈の勇姿をそっと見守る。

 『ユニコーンに乗って』(TBS系)最終話では、これまで2人を見守ってきた視聴者たちが望んでいたに違いない“赤飯案件”が待ち受けていた。登場人物全員が収まるべきところに見事落ち着く様子が見られ、晴れやかな気持ちで視聴を完走できたのではないだろうか。

 もちろんこれまで散々遠回りしてきた2人のことに、功の元カノ・凛花(石川恋)や小鳥(西島秀俊)、そして次郎(前原滉)のナイスアシストがあってようやく想いが通じ合う。

 なぜだか互いに“ビジネスパートナーですらなくなった”と自分たちのことを認識してしまっていた2人は本当に慎ましやかで似た者同士すぎる。「一緒にいる理由がなくなったってこと」と何だか寝ぼけたことを言っている功に「ダッサ。理由がないと好きって気持ちまでなくなるわけ?」と間髪入れず突っ込む凛花よ、あっぱれだ。同じく、ずっとモヤモヤが消えない、どうすればいいか分からないとこぼす佐奈に、小鳥は寄り添う。「CEOとして仲間の人生を背負って、自分の気持ちよりもいつも仕事を優先しているうちに迷子になってしまったんですね」「もっと自分の気持ちに正直になっていいんです。もっと大切な人と向き合ってください。CEOでない時の自分も大事にしてあげて下さい」と、佐奈に時に心の鎧を脱いで自身の本心に従い、それを認めてあげることも必要だと促す。

 佐奈も功もこれまで何かと理由をつけ、そして“ビジネスパートナー”というある意味安全地帯に留まり、自分たちの本心や関係性と向き合うことを避け続けてきた。長年に渡って習慣づいてしまった“ビジネスパートナー”同士としての振る舞いや言動を今さら変えるのは年々難しくなるのだろうし、自分の感情に知らないうちに自動的にセーブをかけてしまう癖を解除し突破する最初の一歩を踏み出すのはなかなかに勇気がいるだろう。もちろんこれまで築いてきたこの貴重な関係性をみすみす手放すようなことはしたくないとも思うのだろう。

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