スポーツマネジメントの世界を舞台に、より良い人生のあり方を描く日曜劇場『オールドルーキー』（TBS系）がいよいよ最終回を迎える。この夏、元サッカー選手の新町亮太郎（綾野剛）が一歩ずつセカンドキャリアを築いていく様子が活写され、悩み、ぶつかりながらも困難に立ち向かっていくその姿が観る者の胸に温かい燈を灯してくれた。

　5歳の頃よりサッカーひとすじで生きてきた新町は、日本代表に選ばれたこともある元Jリーガーだ。しかし怪我によってキャリアは低迷し、ついには所属していたJ3のチームが解散して引退を余儀なくされてしまう。そんなドン底の新町を拾ってくれたのが、スポーツマネジメント会社「ビクトリー」の代表取締役社長である高柳雅史（反町隆史）。37歳にして会社員デビューすることになった新町は、持ち前の明るさと元プロアスリートとしての突破力で難題を解決していく。

　この“遅れてきた新人”である新町を演じるのが、カメレオン俳優の綾野剛。サッカー経験がほとんどない綾野は、ワールドカップにも出場したことがあるプロサッカー選手を演じるにあたって猛練習。最高のボレーシュートが打てるまでその日の練習を終えないというルールのもと、1日で600本ものボールを蹴った日もあったという（※）。ドラマ内では新町がゴールを決める回想シーンが度々登場するが、そんな綾野の切れ味鋭いシュートには思わず見とれてしまうはず。

　新町は会社の理念でもある「すべてのアスリートにリスペクトを」の精神を体現する、優しくも熱い男だ。世間知らずで少し天然なところがあるものの、元アナウンサーの妻・果奈子（榮倉奈々）が家計を助けるために仕事を始めたり、後輩である海外で活躍する売れっ子サッカー選手に傲慢な態度を取られたりした時にも、卑屈になることなく現実を受け入れ、手を差し伸べてくれる人々の好意を感謝とともに丸ごと受け取れる素直さがあった。