“山﨑賢人×ゲーム業界”で日曜劇場に新風を吹かせる? 『アトムの童』への期待
2022年秋クールの日曜劇場(TBS系日曜21時放送)が『アトムの童』に決定した。
本作は、若き天才ゲーム開発者の安積那由他(山﨑賢人)が大資本のゲーム企業に立ち向かう姿を描いた物語。カプセルトイを手掛ける老舗玩具メーカー・アトム玩具の一人娘・富永海(岸井ゆきの)が会社を経営再建するため“ゲーム業界のバンクシー”と称される那由多に接触、そこに那由他の過去を知る謎の人物・菅生隼人(松下洸平)が絡むという、ゲーム業界を舞台にしたドラマになるとのこと。
老舗の玩具メーカーと大資本のゲーム企業の対決に天才ゲーム開発者が絡むという三つ巴の展開は、TBS日曜劇場が『下町ロケット』や『陸王』で描いてきた、町工場とグローバル大企業の対決の最新バージョンとなりそうである。
ゲーム業界を舞台にしたドラマというと、2013年に『東京トイボックス』(テレビ東京系)と『ノーコン・キッド ~ぼくらのゲーム史〜』(テレビ東京系)というドラマが作られている。この2作はテレビ東京系で放送された深夜ドラマで、コアなゲームファンに向けたマニアックなドラマという印象だった。
対して、春クールの日曜劇場で放送されたゲームアプリ開発会社の社長が主人公の『マイファミリー』(TBS系)や、教育系アプリを開発するEdTech企業を舞台にした『ユニコーンに乗って』(TBS系)など、今年は地上波プライムタイムのドラマにゲームやアプリの開発の現場が登場する機会が増えている。リーガルドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)では小学生がスマホゲームに高額の課金をしてしまう事件が描かれていたが、スマートフォンの普及によってアプリゲームが身近になっているからこそ、ドラマの中で描かれるようになったのだろう。
1980年代にファミリーコンピュータが普及して以降、大衆文化としてのゲームは発展し続けてきた。2021年の東京オリンピック開会式の選手入場の場面で様々なゲームミュージックが使用されたことは記憶に新しい。今年の『24時間テレビ』(日本テレビ系)では、RPG『ドラゴンクエスト』シリーズの音楽を担当した故すぎやまこういちの半生が安田顕主演でドラマ化された。
スマホアプリも含め、もはやゲームは世代を超えて老若男女に共有される文化となっている。だからこそ『アトムの童』では、ゲーム開発をめぐる企業間の戦いがドラマの題材として選ばれたのだろう。このタイミングでゲーム業界を選ぶバランス感覚はさすが日曜劇場である。