『ちむどんどん』矢作が怒るのも無理はない 暢子の足りないピースは揃うのか?

 『ちむどんどん』(NHK総合)第21週「君と僕のイナムドゥチ」第101回では、暢子(黒島結菜)の沖縄料理店「ちむどんどん」の開業をはじめ、良子(川口春奈)の学校給食の改革、歌子(上白石萌歌)の唄三線と智(前田公輝)との恋仲、改心した賢秀(竜星涼)の猪野養豚場での働きがそれぞれ映し出される。

 「ちむどんどん」オープンまであと2週間。暢子は開店に向けて着々と準備を進めていた。「アッラ・フォンターナ」とも晴れて円満退職となり、再び「ちむどんどん」にて料理人として歩み出した矢作(井之脇海)だったが、暢子への傲慢な態度は一切変わることはない。フォンターナ時代からの関係性があるとはいえ、「ちむどんどん」では暢子が雇用主で矢作が従業員。彼も独立して自分の店を持ったことがあるのであればなおさらだと思うが、それでも頑なに強情な態度を直そうとはしない。

 その反面、矢作の存在によって暢子の経営に対する詰めの甘さが露呈する結果にもなっている。三郎(片岡鶴太郎)や田良島(山中崇)、智らを招いて行われたメニュー開発の試食会。「率直な意見と感想を」という暢子に、多江(長野里美)や順次(志ぃさー)からは称賛の声が飛ぶ(しかし、公式サイトの設定には順次は味音痴という記載が……)。言ってみれば試食会に参加しているのは気心の知れた身内ばかり。ここで房子(原田美枝子)がいればビシッと厳しい意見を言ってくれそうなものだが、二ツ橋(髙嶋政伸)曰く、長期のイタリア出張中とのこと。

 矢作の「俺はまだ沖縄料理の良さが分かりません。本当に客が来るんですかね? これで」という正直過ぎる意見に場は一瞬白けるが、それを口火にして暢子が矢作との2人体制でしばらくは営業していくつもりだということが明らかになる。フォンターナのシェフ・二ツ橋から店構えを見ても厨房に2人、ホールと洗い場に1人ずつで4人体制といったところだが、暢子は人件費の面を考えての少人数体制を選ぶ。これに黙っていないのは矢作だ。明らかに店が回らなくなることを見通して、矢作は「俺はホールも洗い場も一切やらねえぞ。料理人として雇われたんだから、料理以外は一切」と宣言。言い方には棘があるかもしれないが、後から過酷だと分かりきっている労働条件をつきつけてこられたのだから、矢作が怒るのにも無理はない。

 ここでおさらいしたいのが、房子が暢子に店を出すために提示した3つの条件。「店の味を任せられる料理人を雇うこと」は矢作の登場によってクリアしているが、まだ「店の看板メニューを決める」「心身ともに健やかでいること」の2つは不安視される部分である。その裏で「猪野養豚場 営業部」として心を新たにする賢秀、多忙な暢子の近況を智から心配そうに聞く歌子。「ちむどんどん」開業に足りないピースがゆっくりと揃い始めている。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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