喪失感を抱える娘と母が時空を越えて出会う 『秘密の森の、その向こう』新場面写真

 9月23日より公開される『秘密の森の、その向こう』の新場面写真が公開された。

 本作は、8歳の少女を主人公に、娘、母、祖母の3世代の女性を繋ぐ癒しの物語。『燃ゆる女の肖像』でセザール賞撮影賞を受賞したクレア・マトンが、本作でも撮影を務めた。

 祖母が他界し、その悲しみに耐えかねた母が姿を消した日。8歳のネリーは、かつて母が遊んだ森を探索するうちに、自分と同じ年の少女と出会う。母の名前「マリオン」を名乗るその少女の家に招かれると、そこは“おばあちゃんの家”だった。喪失という痛みを抱えた娘と母が、時空を超えて出会うことで見つけるものとは。

 主人公のネリー役とマリオン役には、本作が映画初出演となるジョセフィーヌ&ガブリエル・サンス姉妹が起用された。

 公開された場面写真は、時空を越えて育まれる娘と母との友情を切り出したもの。セリーヌ・シアマ監督が本作の物語を思いついたのは、『燃ゆる女の肖像』の脚本を執筆していた頃。その際、「ひとつのビジュアルのイメージがふっと降りてきた」と明かすのが、今回の場面写真のうちの1枚で、秋らしい色彩の森の中で小屋を前に幼い少女ふたりが佇む場面だったという。監督は、それを娘とその母親にしたいと考え、“ある少女が時空を越えて、子どもの頃の母と出会い友情を育む”というシンプルなアイデアを徹底的に掘り下げていった。

 この場面は、ネリーがかつて母が遊んだ森を探索していて出会った、母と同じ名前「マリオン」と名乗る同じ年の少女を手伝い、ふたりだけで完成させた小屋を誇らしげに眺めている様子を捉えたもの。出会って間もないふたりだが、一つのことを共に成し遂げ肩を組んだ背中に、どこか絆のようなものを感じさせる強い印象を残す場面でもある。この森は、監督自身が育った町にある、幼い頃によく遊んでいた馴染みの森だそう。真っ赤に染まった秋の森という監督のイメージを忠実に再現するために、たくさんの押し葉が散りばめられた。

 そのほか、家を処分するために訪れた祖母の家でネリーと母マリオンが、母が幼い頃に使っていたノートを見ている様子や、森の中やその周囲でネリーと幼いマリオンが育む唯一無二の友情を感じさせる写真も。監督は、「シンプルで分かりやすい設定だからこそ、映画にできるかどうか悩んだ。ものすごく慎重に作り上げた物語」と振り返るが、わずか数日を描く物語でありながら、それぞれに喪失感を抱える娘と母が時空を越えて出会うことで心に生まれる変化を予感させる情感豊かな写真となっている。

■公開情報
『秘密の森の、その向こう』
9月23日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
監督・脚本:セリーヌ・シアマ
撮影:クレア・マトン
出演:ジョセフィーヌ・サンス、ガブリエル・サンス、ニナ・ミュリス、マルゴ・アバスカル
提供:カルチュア・エンタテインメント、ギャガ
配給:ギャガ
2021/フランス/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/73分
(c)2021 Lilies Films/France 3 Cinéma
公式サイト:gaga.ne.jp/petitemaman
公式Twitter:@petitemamanjp

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