『ちむどんどん』暢子と和彦の未来はどうなる? 過去の朝ドラの“結婚後”を振り返る

 『ちむどんどん』(NHK総合)第16週「御三味に愛を込めて」では、結婚を決めた暢子(黒島結菜)と和彦(宮沢氷魚)の前に、「結婚は許さない」と和彦の母・重子(鈴木保奈美)が立ちはだかる。

 第16週で大きなテーマとなるのが「結婚」。近年の朝ドラにおいて、結婚を大々的に描いた作品は徐々に少なくなってきている。現代〜コロナ禍以降までを舞台にした『おかえりモネ』を筆頭に、『カムカムエヴリバディ』においてもそれは令和に近づくひなた(川栄李奈)パートにおいて顕著だ。

成田凌、圧巻だった“泣き笑い”の襲名と結婚報告 『おちょやん』千代と一平が夫婦に

どんな励ましも耳に入らない、生きる苦しみから人を救うのは「あほやなぁ」と笑える悲劇と表裏一体の喜劇なのかもしれない。  『おち…

 明治末期から始まる『おちょやん』では、一平(成田凌)が二代目天海天海の襲名公演の口上にて、千代(杉咲花)との結婚を大勢の観客に報告する。芝居を辞める覚悟を決めていた一平の心を「一人やあれへん」と救ったのは千代だった。笑いと涙が入り混じったまさに“泣き笑い”の喜劇。拍手と柝の音が鳴り響く舞台だ。その後の展開は、戦争や様々な別れの中で、“大阪のお母さん”として愛された千代の強さが描かれていく。つらい展開の続く後半パートを考えると2人の結婚は手放しに喜べるものではないが、『おちょやん』における前半パートの集大成として、成田凌や杉咲花の演技が光る節目の回であることに変わりはない。

裕一と音に重なるアキラと華の姿 『エール』母親の思いがシンクロ

アキラ(宮沢氷魚)が華(古川琴音)との結婚の許しを得るため、古山家にやってきた。NHKの連続テレビ小説『エール』が最終週の初日を…

 『おちょやん』の前期朝ドラに当たる『エール』は、音楽家・古関裕而をモデルとした裕一(窪田正孝)と妻の音(二階堂ふみ)の物語。結婚を軸に考えると、裕一と音はもちろんのことそれぞれの兄妹、そして娘の華(古川琴音)に到るまで、様々な恋愛模様が描かれた朝ドラである。ここで取り上げるべきは、なんと言っても華とアキラ(宮沢氷魚)であろう。『エール』は朝ドラ史上最もシリアスと言っても過言ではない戦争パートを例に、良くも悪くも展開によってムードがガラリと変わる作品だった。華の結婚は最終盤に描かれるが、一人娘の華を溺愛してきた裕一の親バカっぷりが炸裂。そこに挨拶に来るのが、少々世間知らずのロカビリー歌手・アキラだ。

 裕一は、アキラのこれまでの派手な生活から結婚に反対。立場は違えど、演じる宮沢氷魚が朝ドラの中で結婚を反対されるというシチュエーションは『エール』と『ちむどんどん』で皮肉にも共通している。一筋縄ではいかないというのが朝ドラにおける一つのセオリーとも言えるだろう。かつての裕一と音の結婚の挨拶を彷彿とさせる“超”長回しワンシーンを経て、裕一はアキラの思いを受け止める。それは真っ直ぐに華を愛する姿勢。アキラを通して裕一は娘を信じる気持ちを再確認するのだった。結婚式はアキラのバンド演奏が披露される華やかなものに。「音楽」をテーマにした『エール』らしい結婚式の一つの形と言える。

関連記事