磯村勇斗×北村優衣×宇野祥平『ビリーバーズ』鼎談 3人で作り上げた独自の世界の裏側
磯村「北村さんと宇野さんがいなければこの映画はできなかった」
ーー一見、刺激的な設定ですが、脚本を読んだ際にどのような感想を抱きましたか？
磯村：最初はみんな仲良くプログラムを成し遂げようとしているところで、人間の1人の欲望があらわになり、亀裂が起きていく……という話の流れですが、それって何も本作の3人だけの話じゃなくて、今この世界で起きていることにも通じるんじゃないかと、出来上がった作品を観て改めて思いました。
宇野：そうですね。特殊な環境の特殊な人たちに思えるかもしれないですが、普段の僕たちと同じような気持ちがそこにはあるように思いました。
北村：欲望って尽きないんだ、と改めて思いました。もしかしたら誰しもに起こり得るかもしれない状況の中で登場人物たちが生きていて、やがて彼らの欲望があらわになっていくという時間の変化は、副議長を演じる上でも考えていたことでした。
磯村：まず言えるのは、本当に北村さんと宇野さんがいなければこの映画はできなかったということですね。今自分にあるのは、本当に参加していただきありがとうございます、という2人への感謝の気持ちだけかもしれない。
ーー俳優としてはいい意味で変わらない、と。
磯村：そうですね。主演をやったから何か大きく変わるというわけではないと思うし。やっぱり主演だろうがそうでなかろうが、どんなジャンルの作品だろうが、作品を通した出会いやその時に生まれた感情が全てなんだと思います。
ーー北村さんと宇野さんから見る、磯村さんの俳優としての魅力は？
北村：内に秘めている、メラメラとした炎みたいなものがすごく伝わってくるんです。私は磯村さんや宇野さんみたいに経験があるわけではないですが、そんな私にもまっすぐに向かって来てくれる。座長が磯村さんだったのは、本当にありがたいことでした。
宇野：以前に少しだけ一緒になる機会があって、なんだか不思議な親近感を持ちました。ずっと前から知り合いのような居心地の良さがある人で、結局本人が魅力的なんだと思います。今回で言えば、すごくさりげない気遣いを随所に感じましたし、コーヒーが飲みたいなと思ったら、コーヒーを買ってきてくれたんですよ（笑）。
一同：（笑）。
磯村：主演ということで自分の中で特段意識していた部分はなかったんですが、みんなで作品を作っていく上で気持ちよく働ける環境にしたいというのは考えていることかもしれないですね。せっかく同じ現場にいるんだから、一緒に笑顔が作れたらいいなとは思っています。
ーー改めて、出来上がった作品を観ていかがですか？
磯村：僕は、本能的に生きたいと思いました。やっぱり今って、すごく理性や数字に縛られて生きている気がしていて。だからこそ、嗅覚を信じて行動したいなって。
北村：私は、この撮影自体が本当に人生の財産となるような撮影になったし、この役をいただけたタイミングが今で良かったと本当に思います。この作品での経験や出会いを糧に、今後役者の人生を歩んでいきたいです。
宇野：僕は、信じることの出来ない孤島の『信者』たちの日々に、日常的な自分の姿を重ねてしまう部分がありました。この極地に自分も実はいるんじゃないかという漠然とした疑いを植え付けられ、逆に極地にいようと人はどこまでも人なんだと映画を観て思いました。
■公開情報
『ビリーバーズ』
7月8日（金）テアトル新宿ほか全国ロードショー
主演：磯村勇斗、北村優衣、宇野祥平、毎熊克哉、山本直樹
原作：山本直樹『ビリーバーズ』（小学館『ビッグスピリッツコミックス』刊）
監督・脚本：城定秀夫
音楽：曽我部恵一
主題歌：曽我部恵一「ぼくらの歌」（ROSE RECORDS）
制作プロダクション：レオーネ
配給：クロックワークス、SPOTTED PRODUCTIONS
2022年／日本／カラー／5.1ch／シネマスコープ／118／R-15
(c)山本直樹・小学館／「ビリーバーズ」製作委員会
公式サイト：https://believers-movie2022.com/
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