「虹郎が幸せならそれでいいって決めたのに。自分も捨て切れない、結局自分なんですよ。だから杏花さん……」と何か言いかけた晴太を、「良いお父さんなんですね」という杏花からの一言が遮る。なんだかこの展開には既視感がある。これは完全に2人の意図していることがすれ違ってしまった瞬間であり、晴太からすればこの杏花の一言は、“自分は恋愛対象外”だと烙印を押された気持ちになったのではないだろうか。

　一人の男性、異性である前に、“良いお父さん”と言われ、自身の父・林太郎（松重豊）との共通点まで持ち出されると、その後さっき言いかけた言葉を続けるのは難しいだろう。なんとも歯痒い展開が見られ、思わず晴太自身の幸せも虹郎の幸せも、そして2人の幸福も損なわれず両立できる方法が見つかりますようにと祈ってしまう。

　帰り際、晴太が虹郎に出題したなぞなぞの答えはとても優しく温かく、“奪う／奪われる”の二元論を軽く超える。

　「奪われても嬉しいものってなんだ？」という問いの答えを「心」とした晴太。息子第一で再婚は考えていないと断言していた彼の心境にも変化が見られている兆しに違いない。

■放送情報
火曜ドラマ『持続可能な恋ですか？～父と娘の結婚行進曲～』
TBS系にて、毎週火曜22:00～22:57放送
出演：上野樹里、田中圭、磯村勇斗、ゆりやんレトリィバァ、井川遥、水崎綾女、清水くるみ、武田玲奈、鈴木康介、松重豊、鈴木楽、柚希礼音、八木亜希子
脚本：吉澤智子
演出：土井裕泰、山室大輔、小牧桜、加藤亜季子
プロデュース：中島啓介、吉藤芽衣
主題歌：幾田りら「レンズ」（ソニー・ミュージックエンタテインメント）
製作著作：TBS
(c)TBS
公式サイト：https://www.tbs.co.jp/jizokoi_tbs/
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