そんな中、A24製作のマルチバース映画『Everything Everywhere All at Once（原題）』は、公開6週目にして前週比+2.2%とトップ10で唯一の上昇を見せた。今週は第5位に再びランクアップし、3日間の興収成績は554万ドルを記録している。北米累計興収は3,549万ドルで、すでに4,000万ドル突破は確実。ともすれば『アンカット・ダイヤモンド』（2019年）の5,002万ドルを抜き、A24作品の北米歴代記録を更新する可能性も出てきた。

　ちなみにランキングの第8位には、今週唯一の初登場作品、リーアム・ニーソン主演のアクション・スリラー『Memory（原題）』がランクイン。2003年のベルギー映画『ザ・ヒットマン』をリメイクしたもので、アルツハイマーを患った暗殺者・アレックスが犯罪組織とFBIに追われながら少女を守るべく戦う物語だ。監督は『007 カジノ・ロワイヤル』（2006年）のマーティン・キャンベル、共演はガイ・ピアース＆モニカ・ベルッチら。Rotten Tomatoesでは批評家スコア31%、観客スコア81%という評価の分裂を示している。

　なお冒頭に記した通り、久々の無風状態となった週末を経て、いよいよ『ドクター・ストレンジ／マルチバース・オブ・マッドネス』がやってくる。北米では5月6日公開（日本を含む海外市場は5月4日に先行公開）で、国内のオープニング興収成績は1億5,000万～2億ドルとの予想。すでに『THE BATMAN－ザ・バットマン－』を抜き、チケットの前売りは2022年公開作品の新記録を樹立しているが、MCUはマルチバース設定やドラマシリーズとのリンクでいささか複雑さを増してきた。ランキングの首位獲得は間違いない現状、熱心なファン層以外をいかにして取り込み、総合的な成績をどこまで伸ばせるかに注目したい。

北米映画興行ランキング（4月29日〜5月1日）

1.『バッドガイズ』
1,610万ドル／4042館／累計4,444万ドル／2週／ユニバーサル

2.『ソニック・ザ・ムービー／ソニック VS ナックルズ』
1,135万ドル／3801館／累計1億6,092万ドル／4週／パラマウント

3.『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』
830万ドル／3962館／累計7,955万ドル／3週／ワーナー

4.『The Northman（原題）』
631万ドル／3284館／累計2,280万ドル／2週／Focus Features

5.『Everything Everywhere All at Once（原題）』
554万ドル／2213館／累計3,549万ドル／6週／A24

6.『ザ・ロストシティ』
393万ドル／2595館／累計9,081万ドル／6週／パラマウント

7.『The Unbearable Weight of Massive Talent（原題）』
392万ドル／3036館／累計1,350万ドル／2週／ライオンズゲート

8.『Memory（原題）』
310万ドル／2555館／累計310万ドル／1週／Open Road Films

9.『Father Stu（原題）』
221万ドル／2476館／累計1,755万ドル／3週／ソニー

10.『モービウス』
150万ドル／1726館／累計7,145万ドル／5週／ソニー

（※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは5月2日未明時点の速報値であり、最終確定の数値とはやや誤差が生じる可能性があります）

参照

https://www.boxofficemojo.com/weekend/2022W17/
https://deadline.com/2022/05/box-office-doctor-strange-2-bad-guys-1235013663/
https://deadline.com/2022/05/downton-abbey-fantastic-beasts-sonic-bad-guys-china-global-international-box-office-1235013921/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/bad-guys-box-office-memory-1235138696/

■公開情報
『ドクター・ストレンジ／マルチバース・オブ・マッドネス』
5月4日（祝・水）公開
監督：サム・ライミ
製作：ケヴィン・ファイギ
出演：ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、ベネディクト・ウォン／レイチェル・マクアダムス、キウェテル・イジョフォー、ソーチー・ゴメス
配給：ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)Marvel Studios 2022