『カムカムエヴリバディ』出征した稔の思いが心に響く 子供の名前「命名 るい」の由来

 学徒動員に応じて、稔(松村北斗)は出征する。稔が出征してからふたつき後、安子(上白石萌音)は稔の子をみごもっていると気がついた。NHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が第4週初日を迎え、出征した稔が残した思いが心に響く回となった。

 徴兵年齢がさらに引き下げられ、その対象となった勇(村上虹郎)が岡山に帰ってきた。安子を「義姉さん」と呼びかけながら、勇は変わらない屈託のない笑顔を見せた。安子とのたわいもないやりとりが束の間の穏やかな日常を感じさせる。しかし帰ってきた勇を囲んでの食卓はどこかやるせなさに満ちていた。美都里(YOU)は息子たちが徴兵されることを嘆いている。美都里といえば、安子につらく当たる姿が印象的だ。しかしそれは息子たちを心の底から愛するがゆえの言動だった。稔の無事を願い、すすり泣く美都里は、稔の子をみごもった安子のお腹にそっと手を当てると「こねんして私のおなかにおったんよ。稔も勇も」と言う。その姿からは、愛する子らを戦地に送り出さなければならない母親の悲しみが深く感じられた。

 場面は変わり、小しず(西田尚美)と花子(小牧芽美)、清子(宮嶋麻衣)が安子の出産を心待ちにしていた。時代が時代なだけに心配する気持ちも膨らむが、安子の母・小しずの言葉が心強い。

「こねん時じゃからこそ生まれてくる子なんじゃて思ようります」

 その後、安子は無事に娘を出産。千吉(段田安則)、美都里、勇は可愛らしい赤ん坊に思わず頬がゆるむ。出征した稔は、まだ見ぬ子供の名前を書き残していた。

「命名 るい」

 変わった名前だと千吉と美都里は首をかしげるが、安子だけが稔の本当の思いを知っていた。物語冒頭で稔は自分の思いを安子にこう伝えている。

「どこの国とも自由に行き来できる。どこの国の音楽でも自由に聴ける。僕らの子供にゃあ……そんな世界を生きてほしい」

 稔と安子の思い出の曲「Lois Armstrong - On the Sunny Side of the Street」。娘・るいの名前の由来は、この時代に決して口に出してはいけないことだった。安子だけが稔の強い思いを知っている。安子はるいに「On the Sunny Side of the Street」を小声で歌ってきかせていた。稔と安子とるいの部屋に響く、決して聞かれてはいけない子守唄。第4週初日は、この時代にも確かにあった幸せな時間と戦争の悲惨さが心を締め付ける回となった。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

関連記事