『ホーム・スイート・ホーム・アローン』が投げかけた、ディズニー系列の作品作りの課題

 アメリカで12週間連続興行収入ナンバーワンを獲得し、日本を含む世界で大ヒットした、もはやファミリー向けコメディの伝説となっている『ホーム・アローン』(1990年)。クリスマスに家に一人取り残された子どもが、侵入者をイタズラで撃退する、ライトなタッチの痛快作だ。

 主演のマコーレー・カルキンにまつわる様々な報道で、これまで度々話題になったほか、続編にゲスト出演したドナルド・トランプの登場シーンがカットされるかどうかという議論が起こるなど、『ホーム・アローン』の話題は、最近になっても尽きない。そんなシリーズ最新作『ホーム・スイート・ホーム・アローン』が、クリスマスを前に「ディズニープラス」から配信されている。

 シリーズの権利をもともと持っていたのは、「20世紀フォックス」。ディズニーによる会社の買収によって、いまは権利ごとディズニーが所有している。かくして、『ホーム・アローン』の新作が「20世紀スタジオ」によって製作され、ディズニーにより配信されるはこびとなったのだ。

 とはいえ、本作の反応はそれほど芳しくなく、アメリカの大手批評サイトでは批評家、観客ともに、低い総合スコアを示している。その要因には、もちろん伝説的な第1作の存在の大きさがあることは確かだろう。ただ、本作は今後のディズニー系列の作品作りの課題を投げかけることにもなったのではないか。ここでは、それが何なのかを考えていきたい。

 今回、侵入者たちから家を一人で守るのは、『ジョジョ・ラビット』(2019年)で主人公を助ける、メガネをかけた小さな親友“ヨーキー”役で、多くの観客の心をつかんだアーチー・イェーツ演じる少年だ。これだけで心を惹かれる観客は少なくないだろう。

 そして今回の侵入者は、コメディ俳優のエリー・ケンパーとロブ・ディレイニー演じる、経済的な問題から自宅を手放さざるを得ない夫婦。この二人、ただの悪人というわけではなく、少年が夫婦の家から持ち出したと思われる、価値あるアンティーク人形を取り戻し、自宅売却の危機を乗り越えようとしているのだ。

 この物語を書いたのは、コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』の作家マイキー・デイとストリーター・サイデルの二人だ。侵入者たちが子どもの反撃によって右往左往するオリジナル版の構図そのままに、少年と夫婦のバトルを描いていく。さらに作中には、『ホーム・アローン』を観ているファンへのサービスが随所に織り込まれているのも特徴である。

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