『着飾る恋には理由があって』は2021年らしい恋愛ドラマ 恋しくなった“つながり”を再確認

 2021年春、私たちは「つながり」を感じにくい世界に生きている。マスクで顔の半分以上を隠し、最小限の会話に、物理的な距離を取った生活。かつては当たり前のようにあった、お店の常連さんとして知り合う友情も、恋バナや理想の生活を語り合って盛り上がる場も、偶然の接触で心がときめくことも、難しくなってしまった。

 だからこそ、この春は恋愛ドラマが多く生み出されているのだろう。きっと私たちは、「つながり」が恋しくてしかたがないのだ。いくらでもオンラインでつながることができるからこそ、よりオフラインでのつながり方がわからなくなってはいないだろうか。ボタン一つでハートを送ることができるからこそ、直接「好き」だと伝えることにハードルが高くなってはいないだろうか。

 そんな2021年らしい恋愛ドラマが生まれた。火曜ドラマ『着飾る恋には理由があって』(TBS系)だ。主人公の真柴(川口春奈)は、フォロワー数10万人を誇るインフルエンサー。この数字は、朝の通勤タイム、ランチタイム、夜のゴールデンタイム、毎日欠かすことなくSNSに投稿し、着実に積み上げてきたもの。そのモチベーションはただ一つ、インテリアメーカー「エル・アルコ・イリス」の社長・葉山(向井理)への恋心だった。

 しかし、そんな忙しい日々を送るうちに、マンションの契約更新を忘れ、住まいを追われるところから日常が大きく変わる。カフェでアルバイトをしていたときに常連客として知り合った、人気フードスタイリスト・香子(夏川結衣)の計らいで、彼女の大きな家に移り住むことに。しかし、そこには香子以外にも3人の住人が。思わぬ、ルームシェア生活が始まる……。

 香子はシェア生活を始めた理由を、こう語った。「人生100年時代。やっとこさ50になって、もう1人でいいやって思ってる。でも、ずっと1人は無理かもしれない。だから、この家がみんなの家になったらって。好きなとき、好きなように、好きな誰かと暮らす。そんな日が来てもいいなと思ったの」。

 たしかに、1人でも生きていける便利な世の中になった。働き方も多様化し、個人事業主や自由業を選択する人も増えた。このコロナ禍では、一気にリモートワークも進み、直接誰にも会わなくても、誰かの都合に振り回されなくても、生きていける自由を手に入れたように見えた。

 実際に、この家にいるのは、マイペースに働いているメンバーばかり。人間関係も持ち物も極限まで削ぎ落としてきたのが、ミニマリストの駿(横浜流星)。時間と心の余裕を何よりも大切にした暮らしを送っている。そして駿のはとこ・陽人(丸山隆平)は、自室でオンラインカウンセラーとして働いており、アーティストの卵・羽瀬(中村アン)は創作活動をしながら高級スーパーでデリバリーのアルバイトをしている。