劇場新作の制作も決定 『マクロスF』はなぜ根強い人気を誇るのか?

 日本を代表するロボットアニメという問いに、『マクロス』シリーズを挙げる人も多いのではないだろうか。アクション描写のみならず、歌で敵を改心させるなどの挑戦的な試みがヒットし、1982年に放送された『超時空要塞マクロス』から現代に至るまで、約40年にわたり高い人気を誇るシリーズだ。

 特にその中でも今でも注目度が高い作品として『マクロスF』が挙がる。2008年に放送が開始され、たちまち大ヒットを記録した。テレビアニメとしては『マクロス7』以来13年ぶりの作品となっており、マクロスシリーズの魅力を今の2、30代に広く伝えた作品であることは間違いない。2009年、2011年に劇場版作品も公開され、少し大袈裟な表現になるが、中興の祖と語るに足る作品だろう。

 その人気は今も根強い。10年ぶりの単独ライブである『マクロスF ギャラクシーライブ 2021〜まだまだふたりはこれから!私たちの歌を聴け!!〜』の公演も2月に予定されていた。残念ながらコロナ禍による緊急事態宣言により、公演延期となってしまったが、その代わりにとYouTubeにて無料ライブ配信が放送され、完全新作『劇場短編マクロスF ~時の迷宮~』が、2021年に公開されることが決定した。

 では、その人気の秘密はどこにあるのだろうか。マクロスシリーズの魅力は多岐にわたるが、やはり楽曲の良さを挙げる人が多いのではないだろうか。『超時空要塞マクロス』では、リン・ミンメイが歌を歌い、文化の力で戦争を終わらせることで、他のロボットアニメとの差別化に成功した。それ以降のマクロス作品では歌手の存在が大きくフューチャーされる作品も多い。

 特にその時代に沿った音楽性を見出してきた点に注目すべきだろう。1982年に放送された『超時空要塞マクロス』に登場するリン・ミンメイは山口百恵、松田聖子などの王道のアイドル像に近い印象を受ける。また1994年に放送されていた『マクロス7』は、当時のバンドブームを反映し、アイドルからロックバンドを中心とし、音楽に対して真っ直ぐな熱血漢の熱気バサラと、その歌声を務めた福山芳樹のパワフルな音楽性と歌声が印象に残る。

 『マクロスF』は2人の歌姫が話題となった。王道のアイドルであり、可愛らしい女の子であるランカ・リー。そしてセクシーでありながらもかっこいいアーティストのシェリル・ノーム。この2人は2000年代の松浦亜弥などの王道アイドル像と、安室奈美恵、浜崎あゆみなどの女性が憧れるかっこいい女性アーティスト像という、多様化する女性歌手の形を反映したキャラクターとなっている。

 楽曲の制作を務めたのは、アニメソングやCMソングなどで多くの名曲を制作してきた菅野よう子だが、2人のキャラクターの違いに着目した音楽性の違いにも注目したい。ランカはアイドルを意識しており、可愛らしい楽曲や歌い方を重視している。代表作の1つである『星間飛行』でポーズをしながら「キラッ☆」と可愛らしく歌い上げる様子は大きな話題を呼んだ。