『呪術廻戦』はさまざまな意味で“革新的”な作品に 釘崎野薔薇の異色なヒロイン像

 こういったヒロイン像の現代的なアップデートを提案している意味合いでも、『呪術廻戦』は革新的だった。なにより、特に2020年から2021年にかけて日本でも女性のエンパワーメントが求められている空気になってきたのに対し、これを描いた原作者の芥見下々が2018年にはすでにこのキャラクターを漫画で描いていたという事実が素晴らしい。本来のコミックの意味性にMAPPAの表現力がかみ合わさったアニメ『呪術廻戦』は、間違いなく傑作だったと言える。

 また、最終回放送終了と同時に0巻の映画化が発表された。『呪術廻戦』の主人公、虎杖悠仁が高専にくる直前の物語となっており、“もう一人の主人公”であり本編にも度々描かれていた乙骨雄太に焦点があたる。公開は2021年冬、夏油傑の起こした“百鬼夜行”が12月24日だったこともあり、公開日がクリスマスになるのではないかと既にファンの間ではささやかれている。現在の高専2年が1年生として活躍する姿も見逃せない。2020年に社会現象を巻き起こした『鬼滅の刃』のように、劇場版をもってして『呪術廻戦』もさらなる人気を博すことになりそうだ。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。InstagramTwitter

■配信情報
『呪術廻戦』
Amazon Prime Video、dTV、Netflix、Paravi、U-NEXTほかにて配信中
原作:『呪術廻戦』芥見下々(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:朴性厚
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:平松禎史
副監督:梅本唯
美術監督:金廷連
色彩設計:鎌田千賀子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:兼田美希、木村謙太郎
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳圭介
音楽:堤博明、照井順政、桶狭間ありさ
音響監督:藤田亜紀子
音響制作:dugout
制作:MAPPA
(c)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
公式サイト:https://jujutsukaisen.jp/#index

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