“第七世代”も後に続く? バカリズム、シソンヌら芸人脚本家が切り開いたドラマの新たな道

 現に、シソンヌのじろうと双璧を成す芸人脚本家のひとりであるバカリズムも、特筆すべきコント師としてのセンスをフルに活かしたシットコム『ウレロ☆未確認少女』から映像作品の脚本家として活動を開始。その後の作品を見てみれば、喫茶店とタクシーを舞台に据え、タイムスリップという突飛なシチュエーションで拡張していった『素敵な選TAXI』(カンテレ・フジテレビ系)や、シットコムの名作『フレンズ』を想起させる『住住』(日本テレビ)、さらには代表作である『架空OL日記』(読売テレビ・日本テレビ系)に至るまで、いずれもコント的シチュエーションの応用が見られているのである。しかも、そこからさらによりドラマ的なジャンルに応用していくことも可能であると昨秋にWOWOWで放送された『殺意の道程』で証明したのである。

『劇場版 殺意の道程』(c)2021「劇場版 殺意の道程」製作委員会

 お笑い界では現在、途方もないバイタリティにあふれた“第七世代”が台頭している。シソンヌはそのひとつ前の世代として数えられることが多いが、ハナコやかが屋、空気階段はたしかにその括りに含まれる存在だ。テレビの力がかつてほど強くなく、YouTubeなどさまざまなメディアを渡り歩く必要性がある現在。その才能とエネルギーを駆使して活躍をつづける彼らが持つユニークな創造力は、バカリズムやシソンヌによってよりポップなかたちの道が拓かれたドラマ業界に、大きな刺激を与えることになるのではないだろうか。

■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■公開情報
『劇場版 殺意の道程』
2月5日(金)全国公開
脚本:バカリズム
監督:住田崇
音楽:大間々昂
出演:バカリズム、井浦新、堀田真由、日野陽仁、飛鳥凛、河相我聞、佐久間由衣、鶴見辰吾
プロデューサー:高江洲義貴、大内登
配給:WOWOW
製作:「劇場版 殺意の道程」製作委員会
(c)2021「劇場版 殺意の道程」製作委員会
公式サイト:satsui-movie.jp

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