新春ドラマを盛り上げるフジテレビとTBS 『逃げ恥』SPと『教場Ⅱ』への期待

 80年代以降、若者向けのドラマやバラエティを作ってきたフジテレビだが、近年は大人の視聴者をターゲットにした番組づくりへとシフトしている。

 かつて若者のカリスマで現在は大人の俳優に成長した木村拓哉が、これからの時代を生きる若者たちを教え導く姿を描いた『教場』はその象徴と言える作品で、だからこそ、正月の看板ドラマとして(おそらくこれから毎年)放送されるのだろう。

 対してTBSは、一見保守的に見えながらも時代の変化に適応し、その時代々々の最先端の問題を追い続けている。『逃げ恥』も、一見すると「同居モノのラブコメ」という恋愛ドラマの定番にみえるが、結婚、働き方、ジェンダー観にまつわる最新の問題意識が盛り込まれた作品で“古い器の中に新しい価値観を盛り込む”という絶妙なバランス感覚によって、時代を象徴するドラマとなった。

『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(c)TBS

 その中心にいるのが、脚本の野木亜紀子と、主演の新垣結衣と星野源だ。中でも星野源は俳優、ミュージシャンとして常に新しい時代の価値観を引き受け、オピニオンリーダーとしてのメッセージを発し続けており、かつて木村拓哉の所属していたアイドルグループ・SMAPが体現していた時代を象徴する国民的スターとしての役割を、一人で背負っていると言える存在である。

 木村拓哉の『教場Ⅱ』と星野源の『逃げ恥』。この2作が何を見せてくれるのか、今から楽しみである。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■放送情報
新春スペシャルドラマ『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』
TBS系にて、2021年1月2日(土)21:00~23:25放送
出演:新垣結衣、星野源、大谷亮平、藤井隆、真野恵里菜、成田凌、古舘寛治、細田善彦、モロ師岡、高橋ひとみ、宇梶剛士、富田靖子、古田新太、石田ゆり子、西田尚美、青木崇高、滝沢カレン、池谷のぶえ、ナオト・インティライミ、金子昇、Kaito、前野朋哉
原作:海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ』(講談社『Kiss』所載)
脚本:野木亜紀子
プロデューサー:那須田淳、磯山晶、峠田浩、勝野逸未
演出:金子文紀
音楽 :末廣健一郎、MAYUKO
主題歌:星野源 「恋」(スピードスターレコーズ)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/NIGEHAJI_tbs/
公式Twitter:@nigehaji_tbs
公式Instagram:nigehajigram

『教場II』
フジテレビ系にて、2021年1月3日(日)、4日(月)21:00~2夜連続放送
出演:木村拓哉、濱田岳、上白石萌歌、福原遥、矢本悠馬、杉野遥亮、目黒蓮(Snow Man)、眞栄田郷敦、岡崎紗絵、戸塚純貴、高月彩良、樋口日奈(乃木坂46)、重岡大毅(ジャニーズWEST)、三浦貴大、佐久間由衣、嘉島陸、工藤阿須加、川口春奈、葵わかな、富田望生、味方良介、村井良大、大島優子、三浦翔平、佐藤仁美、和田正人、高橋ひとみ、松本まりか、小日向文世ほか
原作:長岡弘樹『教場』シリーズ(小学館)
脚本:君塚良一
演出:中江功
プロデュース:中江功、渡辺恒也、宋ハナ、遠藤光貴(SWITCH)
制作協力:SWITCH
制作著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kyojo/
公式Twitter:@kazamakyojo
公式Instagram:@kazamakyojo

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