ホロコーストを生き延びた少女と医師の関係性を描く ハンガリー映画『この世界に残されて』公開へ
ハンガリー映画『Those who remained(英題)』が、『この世界に残されて』の邦題で12月よりシネスイッチ銀座にて公開されることが決定。あわせて日本版予告編とポスタービジュアルが公開された。
ナチス・ドイツによって約56万人ものユダヤ人が殺害されたと言われるハンガリー。終戦後の1948年、ホロコーストを生き延びたものの、家族を喪い孤独の身となった16歳の少女クララは、ある日寡黙な医師アルドと出会う。言葉をかわすうちに、彼の心に自分と同じ欠落を感じ取ったクララは父を慕うようにアルドになつき、アルドはクララを保護することで人生を再び取り戻そうとする。彼もまた、ホロコーストの犠牲者だったのだ。だが、ソ連がハンガリーで権力を掌握すると、世間は彼らに対してスキャンダラスな誤解を抱き、やがて二人の関係も時の流れとともに移り変わってゆく。癒えることのない心の傷を抱えた者たちが年齢差を超えて出会い、痛みを分かち合いながら寄り添う。
本作が映画初主演となるアビゲール・セーケが少女クララを演じる。そしてハンガリーを代表する名優カーロイ・ハイデュクが、クララを支え無償の愛を注ぐアルド役を務めた。ハイデュクは本作で、ハンガリーアカデミー賞およびハンガリー映画批評家賞で最優秀男優賞を受賞。これまでおもに短編映画を手がけ高い評価を受けてきたバルナバーシュ・トートが監督を務め、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作『心と体と』のモーニカ・メーチとエルヌー・メシュテルハーズィが製作を手がけた。
公開されたポスタービジュアルでは、セーケ演じるクララの印象的な横顔が切り取られている。
予告編は、クララがアルドと出会うシーンから始まる。同じ痛みを知る二人は、徐々にお互いを家族のように想い合うようになるが、ソ連の侵攻が本格化するとともに、その関係が周囲にあらぬ誤解を生んでしまう。
■公開情報
『この世界に残されて』
12月より、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
監督:バルナバーシュ・トート
製作:モーニカ・メーチ、エルヌー・メシュテルハーズィ
出演:カーロイ・ハイデュク、アビゲール・セーケ、マリ・ナジ、カタリン・シムコー、バルナバーシュ・ホルカイ
配給:シンカ
2019/ハンガリー/ハンガリー語/88分/シネマスコープ/5.1ch/カラー/英題::Those Who Remained/原題:Akik maradtak/日本語字幕:柏野文映/後援:駐日ハンガリー大使館、ハンガリー文化センター
(c)Inforg-M&M Film 2019
公式サイト:synca.jp/konosekai/