朝ドラ第105作目『カムカムエヴリバディ』制作決定 史上初の“3人ヒロイン”に

 NHK連続テレビ小説第105作目のタイトルが『カムカムエヴリバディ』に決定。脚本を連続テレビ小説『ちりとてちん』の藤本有紀が手がけることが発表された。

 2021年度後期、NHK大阪が製作を手がける本作は、昭和・平成・令和の時代に、ラジオ英語講座と共に歩んだ祖母、母、娘の3世代親子を描く物語。京都・岡山・大阪を舞台に、時代を超えた愛すべきヒロインたちの日常に寄り添っていく。

 なお、本作は8月から出演者オーディションが実施され、ヒロインのひとりはオーディションで選出される。

藤本有紀(脚本)

いつか二度目の連続テレビ小説を書かせていただく機会に恵まれたなら、きっと書こうとあたためていた題材があります。それが「NHKのラジオ英語講座」です。
1925(大正14)年に日本でラジオ放送が開始されたその年に、英語講座は始まりました。その歴史を紐解いていくことは、そこに百年の物語を見つけ出し、紡ぎ上げることと同義です。とても自然な成り行きで三世代のヒロインが誕生しました。
小さな積み重ねがやがてダイナミックな展開をもたらすのは、英語学習も連続テレビ小説も同じです。毎日15分だけ、おつき合いいただけましたら幸いです。

堀之内礼二郎(制作統括)

制作にあたって

今回、ご一緒できることになった藤本有紀さんへの思いは、13年前にさかのぼります。当時、福井放送局でディレクターとして働いていた私は、将来どんな番組を作っていったらいいのか悩んでいました。そこにやってきたのが2007年の連続テレビ小説『ちりとてちん』でした。ヒロインが福井で活躍するドラマの撮影に、地元からの応援として参加することになった私は、台本を読ませてもらい、そのあまりの面白さに衝撃を受けました。その日、私は自分の進む道をドラマに決め、いつかきっと藤本さんと一緒にドラマを作ろうと夢見てきました。

この物語には三世代の女性が登場し、ヒロインのバトンが次の世代に、そしてまた次の世代にと、リレーのように受け継がれていきます。この試みは、長い連続テレビ小説の歴史の中でも初めてのことです。命、そして役割は前の世代から託され、次の世代につないでいくものだということ。大きな流れの中で生かされている命の尊さを感じてほしいと思っています。

今、新型コロナウイルスの影響で、世の中が重い空気に包まれているように感じています。このドラマの企画を開発している間も、自分たちがやっていることは不要不急ではないのか、という問いと向き合いながら、それでも心を奮い立たせながら準備を進めてきました。大規模な出演者オーディションを行うことも、あきらめていた時期があります。しかし途中で、今こそやるべきなのではないか、と考えを改めました。活躍の機会が失われ、多くの若者の未来が閉ざされてしまっている状況の中、夢をみること、そしてチャレンジすることをあきらめないでほしいと願いました。

ドラマには願いが必要だと思っています。祈り、といってもいいかもしれません。こんな時だからこそ、最高に明るくて面白い“朝ドラ”を届けていきたい。朝が輝けば、一日が輝く。一日が輝けば、毎日が輝く。“朝ドラ”が面白ければ、世の中は変わると本気で信じています。来年、泣いて笑って元気になれる物語を届けられるよう、藤本さんが書かれた台本を胸に、出演者、スタッフ、みんなで真摯に頑張っていきます。ぜひこの楽しい物語の世界に、カムカムエヴリバディ!

タイトルについて

かつて終戦直後の日本を席巻した平川唯一(ひらかわ・ただいち)講師の NHK ラジオ英語講座・通称「カムカム英語」のオープニング曲のタイトルです。「証城寺の狸囃子」のメロディーにのって、「カム♪カム♪エヴリバディ♪〜」の歌が始まると日本中の子どもからお年寄りまで釘付けになり、明るい声に励まされました。そこには、戦後の重苦しい日本を「明るくしたい」という平川講師の願いが込められていました。「カムカムエヴリバディ」の合言葉は、今を生きる私たちの未来をも切り開くパワーワードになる!と願いを込めて、タイトルにしました。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
NHK総合にて、2021年秋放送
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史ほか 

【制作スケジュール】
2020年夏頃 出演者オーディション
2020年冬頃 出演者発表
2021年春頃 クランクイン予定
【主なロケ予定地】京都・岡山・大阪 ほか
写真提供=NHK

関連記事