志田未来、『美食探偵』は“禁断の果実”? キャリアを重ねた今だからこそ増す、感情の重み

 『美食探偵』では、彼氏の浮気相手の殺害をマグダラのマリア(小池栄子)に依頼する、純朴なりんご農家の娘・古川茜/林檎を演じる。単に浮気だけなら殺害に至らなかっただろうが、彼女の人生そのものと言えるジャムを浮気相手に食べられる悔しさ。また自分が送ったものは腐らせるのに、ホテルのものを食べて死ぬ彼は、茜にとっては浮気以上の裏切り行為。そのことを涙を流しながら噛みしめるように告白するその悔しさが伝わり、最後に「愛してたから殺した。女ってそういうもんです」と、悔しさを超えて、安堵したような表情を浮かべる。普通ならここで反省して終了だが、マリアファミリーとなって、連続殺人の手助けをすることに。

 志田が『女王の教室』から今でも一貫してキャラがブレないのは、見た目や与えられる役もそうだが、感情表現の演技が変わらないこと。ただ、キャリアと年齢を重ねたこともあるのだろう。若さゆえの暴走ではなく、責任と、周りの声があるのを分かった上で、覚悟を決めての行動だと想像できる演技の重みがあるのだ。そうした背景が見える年齢になったからこそ、茜の感情がより伝わってくる。今回振り返って気づいたのは、志田の演じる役柄は、どんな不幸やアドバイスがあっても自分の意思は絶対曲げないこと。要は頑固者と世間との戦いだったように思うが、マリアはそれを受け入れるところが面白く、意思を曲げずに殺人を成就したその先は、これまで志田が演じたことのない未知の領域、まさに禁断の果実。悪役や殺人役を演じた印象がない志田が、マリアファミリーでどういった心情で明智たちと対峙するのかに注目だ。

■放送情報
『美食探偵 明智五郎』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜23:25放送
出演:中村倫也、小芝風花、佐藤寛太、富田望生、北村有起哉、小池栄子、武田真治、仲里依紗、志田未来、財前直見、モロ師岡、宮崎哲弥(写真)
原作:『美食探偵 明智五郎』東村アキコ(集英社『ココハナ』連載)
脚本:田辺茂範
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:荻野哲弘、本多繁勝(AX-ON)、西紀州(AX-ON)
協力プロデューサー:吉川恵美子
演出:菅原伸太郎、水野格ほか
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/bishoku/
公式Twitter:@bishoku_ntv

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