『エール』ヒロイン・音の物語をじっくり描いた第2週 前向きな姿勢と強さの裏にあった出会い

 裕一(窪田正孝)の未来の伴侶となる音(二階堂ふみ)の幼少期が描かれた第2週目の連続テレビ小説『エール』(NHK総合)。「運命のかぐや姫」と題された今週は、音(清水香帆)が歌手を目指すきっかけや父との死別を、学校の学芸会で『かぐや姫』を公演することを通して描かれる。瑞々しい少女たちの芝居や葛藤、家族が力を合わせて苦しみを乗り越える力強さが描かれた。

 音は教会で世界的オペラ歌手・双浦環(柴咲コウ)と出会うことで歌手を目指し始める。環と話したい音であったが、なかなか勇気が出ずにいると、父の安隆(光石研)が「やらずに後悔するよりやって後悔した方がいい」と音の背中を押し、環と話すきっかけを作った。しかし、そんな父がある日、事故で他界してしまう。そのことをきっかけに、音の家庭はいわゆる女こどもだけになってしまい、光子(薬師丸ひろ子)は安隆の仕事を引き継ぐものの、取引相手や職人に認めてもらえない。しかし、3姉妹と母の力で、なんとか危機を回避する。音は小学校の学芸会で『かぐや姫』のかぐや姫役を演じ、天国の父に届けと言わんばかりの、堂々とした歌声を披露するのであった。

 第2週は、タイトルの通り、音が立ち向かう『かぐや姫』の演劇にスポットが当たる。音は大正デモクラシーの時代に育ち、母の光子も自由主義的な考えを持つ女性であった。そんな家庭に育った音は、自分の意見をはっきりと人に伝えることができ、小学校での学芸会の演目も男性教師が決めた『浦島太郎』を跳ね除け、音の発案で女性が主人公の『かぐや姫』に決まる。音のこうした凛とした魅力は、多くの人を惹きつけることになる。始めこそ、同級生の良子(田中里念)からは煙たがられていたが、良子も次第に自分の意思をハッキリ持つ音に惹かれていった。良子は、劇を大切にしたい気持ちと母親からのプレッシャーで苦しんでいたのである。そうした自分の心に従うことにした良子は、音にかぐや姫役を譲るのであった。音に惹かれていたのは良子だけではない。小学校生活を描くシーンでは、音には常に味方になってくれる友人がいた。前向きに突き進む音の強さに惹かれていた同級生は多かっただろう。幼少期、内気で友人を作ることに苦労した裕一とは正反対の音であったが、裕一が作曲の才能で多くの人を魅了したように、音もまた、誰かを惹きつける存分な魅力のある人物であった。

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