『テセウスの船』変わり果てた未来で上野樹里と再会 それでもぶれない鈴木亮平の家族愛
そしてどんな時も変わらない人間がもう一人。面会に来た鈴と心の姉弟に「ダァー!」と笑顔でポーズを取る男。時を超える家族の絆、と書くといかにも単純に見えてしまうが、過去と未来をつなぐ別々の時間軸の上でも、佐野の家族に対する思いだけはぶれない。その思いに触れた鈴は「今度は私たちが頑張る番」と決意。父の笑顔は結果的にあきらめかけていた鈴の心に闘魂を注入することになった。
また、アントニオ猪木が「1、2、3、ダー!」を観客の前ではじめたのは、1990(平成2)年2月10日の新日本プロレス第2回大会からであり、平成元年を舞台とする本作の設定にそぐわないという指摘がある。この点、筆者は、心がタイムスリップしたことによって時間軸にねじれが生じ、佐野も何らかの方法によって事前に闘魂注入を知り得たと考える。
第4話では、音臼小事件の真犯人に直接つながる手がかりは見つからなかった。何かをつかんでいたような金丸(ユースケ・サンタマリア)は、崖から突き落とされて死亡し、佐野によると無差別殺人は形を変えて発生。ただし、ラストシーンでは新たに証人が名乗り出たという会話もあった。また、ここに来て事件の被害者であるさつきとみきおの木村親子がクローズアップされている。さつきは由紀の被害者家族に対する訴えを聞いて舌打ちするような表情を浮かべており、そこには何か不都合な真実が隠されているようにも思える。被害者の中には真実を知るものがいる可能性があり、新証言をめぐってさらなる展開が待ち望まれる。
■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログ/twitter
■放送情報
日曜劇場『テセウスの船』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:竹内涼真、榮倉奈々、安藤政信、貫地谷しほり、芦名星、竜星涼、せいや(霜降り明星)、今野浩喜、白鳥玉季、番家天嵩、上野樹里(特別出演)、ユースケ・サンタマリア、笹野高史、六平直政、麻生祐未、鈴木亮平
原作:東元俊哉『テセウスの船』(講談社モーニング刊)
脚本:高橋麻紀
演出:石井康晴、松木彩、山室大輔
プロデューサー:渡辺良介、八木亜未
製作:大映テレビ、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/theseusnofune/