駿河太郎×尾上寛之の先輩芸人姿がアツい! 『べしゃり暮らし』に盛り込まれた“お笑いのセオリー”

 テレビ朝日土曜ナイトドラマ枠で放送されている『べしゃり暮らし』は、『ろくでなしBLUES』や『ROOKIES』で知られる森田まさのりの同名漫画をドラマ化したものである。

 物語の中心となる高校生漫才コンビを演じているのが間宮祥太朗と渡辺大知だ。間宮演じる上妻圭右は、学校一の人気者で学園の爆笑王だった。ある日、彼がお昼の校内放送でしゃべっていたところに転校生の辻本潤(渡辺大知)が迷い込んでくる。辻本が関西弁というだけで「べしゃりいける?」と校内放送のスタジオに連れ込むと、辻本は絶妙なべしゃりを繰り広げる。実は辻本はかつてプロの芸人として活動していたのだ。やがてふたりは学園内の漫才コンテストに向けて漫才コンビ・きそばATを組むこととなる。

 実は最初の段階では、主人公である上妻の行動が鼻についた。高校の中だけ、勢いだけで同級生を笑わせている感じがしたからだ。しかし、その不満はすぐに解ける。

 後にきそばATは、プロアマ問わず参加できる漫才コンテストにエントリーするが、その優勝候補とも言われるプロの芸人・デジタルきんぎょの金本(駿河太郎)は、上妻のそんな「井の中の蛙」な様子を見て、「今までは、まわりが全員『アイツはおもろいやつや』って刷り込まれてて、何言うても爆笑してもらえた。ほんまはさぶいこと言うててもな」「今まで自分がどんだけぬるい空気の中にいたか、思い知ることになるやろな」と上妻の相方である辻本にだけ語るシーンがあるのだ。

 また、その後にコンテストの予選できそばATが一般の客を前にネタをするシーンがあるが、そのひとりよがりなネタがまったく受けないというシーンのリアリティは、いたたまれないほどであった。間宮祥太朗の演技は、それほど真に迫っていたし、その姿は残酷と言えるほどでもあった。

 聞けば原作者の森田まさのりは、松本人志の大ファンというので納得した。松本のお笑いを見てきた世代は、クラスの人気者は楽しい人であって面白いのとは違う、というセオリーが身に染みている。この作品には、こうした今まで言い伝えられてきたお笑いのセオリーが詰まっていて、そこを表現するために、間宮の演技が鼻についたのだった。

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