アニメーターに限らず、どんな職種にも言えることだが、1人で完結できる仕事はないわけで、そこに信頼関係があるかないかで大きな違いが生じてくる。

　後輩に慕われ、自分の技術を磨きながらも後輩育成に尽力し、明るい人柄。見守り、ときには背中を押してくれる、こんな理想的な上司の存在があれば心強く感じるし、無理なことにも挑戦したくなるというものだ。

　公式サイトのインタビューで脚本家・大森寿美男は「自分のキャラクターを押し通すヒロインではなく、人と関わる中で変化し、相手の思いを受け止めて返していく中で自分の意志を強くするヒロイン」と広瀬すずが演じる奥原なつについて語っている。なつのアニメーターとしての意思を強くする存在として、下山も大きな役割を担っているのはここまでの物語を観ても明らかだろう。

　なつがアニメーターとしてどのように成長し、自分の夢を叶えていくのか、日本のアニメーションを切り開いた人たちが今後どう活躍していくのか。下山の気配りと優しさ、そして演じる川島の低音“癒し”ボイスが、なつたち東洋動画の支えになることは間違いなさそうだ。

■池沢奈々見
恋愛ライター、コラムニスト。

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日（月）〜全156回
作：大森寿美男
語り：内村光良
出演：広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人／岡田将生、吉沢亮、清原翔／安田顕、音尾琢真／小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括：磯智明、福岡利武
演出：木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供＝NHK
公式サイト：https://www.nhk.or.jp/natsuzora/