松山ケンイチ×早乙女太一×中島かずき『プロメア』鼎談 松山「プレッシャーがすごくあった」
中島「太一くんが第一声を発した瞬間、『リオがいる』という空気に」
ーー一方で早乙女さん演じるリオは静かな怒りを見せるキャラクターです。声だけでそれを表現するというのはいかがでしたか?
早乙女:かずきさんが描いてくれる僕のキャラクターって悲しみや怒りみたいなものを背負っていることが多いのですが、舞台だと体を使って表現するものだったなと。今回声優として声だけに絞った時に、バリエーションを出すのがものすごく難しかったですね。
中島:太一くんが第一声を発した瞬間、ブースの中は「リオがいる」という空気に包まれました。その背負った感じというのは僕がよく背負わせているからなんだけど(笑)。でもこれがバーニッシュのリーダーの声なんだ、とすごく頷けたんです。あの瞬間に「いける」と思いましたし彼で良かったなと思います。
早乙女:僕はどちらかというと闇属性な役が多いのですが、闇をやる時、どこのタイミングでそれが薄れるかはその時の話や役柄によって違います。その闇を振り払ってくれるエネルギーを松山さんは持っていて、最初の舞台の時に、その光のエネルギーに感動したんです。松山さんは僕と一緒にやる時はエネルギッシュな役が多く、今回もそうだったので一緒にやれてよかったです。
ーー中島さんは脚本執筆時から、このキャスティングを意識していましたか?
中島:アニメのシナリオの場合はかなり前から書くので、当て書きということではないのですが、『ふたがしら』というドラマで、弁蔵と宗次という陽気な熱血男とそれに突っ込むクールな男というコンビをこの2人で書いていたんですね。『プロメア』を書いている時もなんとなく弁蔵と宗次だなと思いながら書いていた部分もあって、キャスティングの時に希望を聞かれて、松山くんと太一くんでと、最初にリクエストしました。
ーーセリフの間が特に印象的だなと感じました。アフレコの時の様子をお伺いしたいのですが。
松山:僕は間を意識するというのはなかったです。録音のマークの間に喋るというのが絶対条件で、芝居だとある程度自分でジャッジできたりするんですけど、それどころじゃなかったですね。その間というのは今石さんが作っているんじゃないかな。
早乙女:僕もいっぱいいっぱいになってました。でもずっと2人でアフレコをやらせていただいたので、そこは良かったです。1人でやっていたら訳わからなくなっていたでしょうし、松山さんが一緒にいてくれて前のセリフを聞いた上で、声を発せるからやりやすかったです。
ーーアフレコをバラバラに撮ることも多いと聞きますが、2人一緒だったんですね。
中島:今回はこの2人の掛け合いは空気感を生かしながらやってもらったんです。後半のパートにはそこに堺(雅人/クレイ役)くんも入って3人でやりましたね。
ーー堺さんが入ることによってまた違った雰囲気になったんでしょうか?
松山:基本的に僕らがコミュニケーションを取る堺さんは心優しいクレイみたいなんですよ。撮影の合間もニコニコしながら子どもの話とかしてて、「本番やります」となった瞬間にスイッチが入るので、なんでそんないきなり切り替えられるんだろうと(笑)。
中島:でも堺くんも小劇場上がりで、早稲田劇研の池田成志さんの系譜にいる人だから(笑)。池田成志の系譜と思えばなんとなくわかりませんか?(笑)。
松山:そうですね(笑)。 いや本当にすごかったです。