『PRINCE OF LEGEND』公開記念企画

『PRINCE OF LEGEND』評論家対談【後編】 「男の子同士の関係性は全員魅力的」

『ハイロー』VS『プリレジェ』の可能性も!?

西森:『プリレジェ』は、キャスト全員にそれぞれ別人格を持たせていますよね。それを映画で終わらすわけではなく継続させることで、その人の持っている素の幅というか、感情表現の幅を広げているんじゃないかと思います。『ハイロー』でも、本人性を生かしたキャラが独り歩きして勝手に人気が広がっていったことの応用ですね。

成馬:LDHが自分たちで作品を作ってるのも大きいのかもしれないですね。

西森:そうそう。きっと、自分のグループとしての活動にもフィードバックされると思うんです。私がびっくりしたのは、『ザ・テレビジョン』のインタビューで、鈴木伸之さんが、「劇中の果音とのシーンで、ちょっとズルいシーンがあるんですよ。個人的にはダメだと思うんですけど」って言っていて。私も映画を見て、それはいかんだろと思っていたので、こういう映画に出て、今までにない思考が生まれたのかなと思いました。それと、やっぱり本人の内面の魅力を広く世間に知ってもらうのに、物語性を活用する方向になっていると思うんです。本人とつながったキャラクターを知ってもらい、その時だけ頑張るのではなくて、「この作品のこの人が好き」と長く愛されることが今は大事になっているのかなと。

【チームネクスト】天堂光輝(吉野北人)、日浦海司(藤原樹)、小田島陸(長谷川慎)

成馬:ファンに見つけてもらうためには、導線を用意しなきゃいけないですからね。とくに人数の多いアーティストのグループはどこから入ったらいいか、わからなくなりやすいですし。

西森:昔はその役割をバラエティ番組が担ってたんだけど、今のテレビではなかなかそれができないから、物語性で知ってもらうというのがLDHがやっていることですよね。ある種、作品がキャラクターのカタログ的になっている。またRAMPAGEの話になっちゃうけど(笑)、私も正直最初は、まだ彼らの個性を知らなかったんです。でも、映画を見て、そのあとに横浜アリーナのステージで見た時に、川村さんのステージマナーというか、振る舞いが人を引き付ける感じがあるのがわかって、そういう興味の道筋をつける役割が『プリレジェ』にはあるのかなと。

成馬:それにしても、LDHは終わらないですよね。今回のプリレジェも今後、続いていきそうな気配があるので、。一回果音の物語は、終わらせて、今後は純粋な王子様バトルとして、真の王子様を決めるみたいな戦いが始まるのかも。この学校自体、実は階級構造があるわけですよね。TEAM奏はセレブ王子だけど、ダンス王子のTEAMネクストは、そうでもないというか……。

朱雀奏(片寄涼太)

西森:“エコノミークラス”とかありましたね。

成馬:そうそう。“エコノミー”と“ファースト”があって、その辺の構造をうまく活かせば階級闘争的な物語を描けますよね。あと、『プリレジェ』って、実は『ハイロー』と同じ世界観という説がないですか?(笑)。

西森:(笑)クロスしちゃうかもしれない。『ハイロー』VS『プリレジェ』もあるってことですか!

成馬:『ハイロー』は貧富の差が広がっているという世界観ですからね。『プリレジェ』には朱雀グループと玄武高専(高校)が出てきますが、朱雀と玄武って中国神話の四神(朱雀・玄武・青龍・白虎)の名前ですよね。それで『ハイロー』は九龍グループを筆頭に龍が象徴として使われていたので、SWORD地区は青龍なのかなぁとか、妄想が膨らみます。富裕層が暮らすエリアがSWORD地区の南にあって、そこに聖ブリリアント学園があるのかもしれない(笑)。

(取材・文=若田悠希)

■公開情報
『PRINCE OF LEGEND』
全国公開中
キャスト:
【チーム奏】片寄涼太、飯島寛騎、塩野瑛久
【チーム京極兄弟】鈴木伸之、川村壱馬
【チーム生徒会】佐野玲於、関口メンディー
【チームネクスト】吉野北人、藤原樹、長谷川慎
【チーム先生】町田啓太
【チーム3B】清原翔、遠藤史也、こだまたいち
【チーム理事長】加藤諒、大和孔太、白石聖
監督:守屋健太郎
脚本:松田裕子
音楽:中野雄太
主題歌:Piece of me/m-flo
(c)「PRINCE OF LEGEND」製作委員会 (c)HI-AX All Rights Reserved.
公式サイト:prince-of-legend.jp

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