濱田岳あってこその『フルーツ宅配便』 白石和彌&沖田修一、両極端な作風が好評

 白石監督といえば、実際に起きた殺人事件を基にした『凶悪』で注目され、北海道警の闇を暴いた『日本で一番悪い奴ら』、暴力団の抗争とそれに巻き込まれる刑事の姿を描いた『孤狼の血』など、激しいバイオレンス描写で知られる監督。一方、沖田監督は、南極観測隊の料理人を務めた男性のエッセイを映画化した『南極料理人』、お人よし大学生の青春ドラマ『横道世之介』、画家・熊谷守一と妻の日常を描いた『モリのいる場所』など、どちらかといえばほのぼのとした作風を持つ監督である。

 ゆえに、この二人が同じドラマで演出を手掛けると最初に聞いたときは驚いたが、その作風の違いは『フルーツ宅配便』にも表れている。白石監督が演出を務めた回(第1、2、3話)は、デリヘル界のシビアな現実を見つめたストーリーが多く、沖田監督の回(第4、5、6話)はデリヘルの内情よりも人間にクローズアップし、人情噺に近いものが多い。つまり、このドラマにはシリアスもコミカルも両方が存在し、それを体現できるのは濱田しかいなかったということ。白石監督がオフィシャルコメントで濱田のことを“最高のパートナー”と表現しているとおり、濱田あってこそのドラマ『フルーツ宅配便』と言っても過言ではないだろう。

■馬場英美
映画ライター。「ザテレビジョン」「FLIX」「朝日新聞」等で、映画&DVD紹介、インタビュー記事を執筆。

■放送情報
ドラマ24『フルーツ宅配便』
テレビ東京、テレビ大阪ほかにて毎週金曜深夜0:12〜放送
出演 : 濱田岳、仲里依紗、前野朋哉、原扶貴子、徳永えり、山下リオ、北原里英、荒川良々、 松尾スズキ、内山理名、成海璃子、うらじぬの、内田慈、筧美和子、中村ゆり、松本若菜、松岡依都美、阿部純子
原作:鈴木良雄『フルーツ宅配便』(小学館『ビッグコミックオリジナル』連載)
監督:白石和彌、沖田修一、是安祐
オープニングテーマ:EGO-WRAPPIN’「裸足の果実」(NOFRAMES / TOY’S FACTORY)
エンディングテーマ:超特急「ソレイユ」(SDR)
チーフプロデューサー:浅野太(テレビ東京)
プロデューサー:濱谷晃一(テレビ東京)、木下真梨子(テレビ東京)、赤城聡(フラミンゴ)、押田興将(オフィス・シロウズ)
制作:テレビ東京、オフィス・シロウズ
製作著作:「フルーツ宅配便」製作委員会
(c)鈴木良雄・小学館/「フルーツ宅配便」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/fruits/

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