『半分、青い。』衣装担当が明かす、鈴愛が“ボーダー柄”の理由 「着こなし過ぎない部分も大事」
折返し地点を過ぎ、主人公・鈴愛(永野芽郁)の妊娠・出産など、まさに「人生・怒涛編」が繰り広げられている連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK総合)。“朝ドラっぽくない”の声が度々上がる本作だが、その要素のひとつとなっているのが登場人物たちの個性豊かな衣装だ。鈴愛のボーダー柄、涼次(間宮祥太朗)の半袖にロンTスタイルなど、各キャラクターの衣装はどんな考えのもとに設定されたのか。
リアルサウンド映画部では、衣装担当として18年のキャリアを持ち、手がけた朝ドラは本作が10作目となる澤谷良氏(東京衣装)にインタビューを行った。各キャラクターへの衣装設定の裏側から、衣装という仕事の喜びなど、じっくりと話を聞いた。
鈴愛の衣装は「ボーダー」をキーアイテムに
ーー朝ドラは26週という大変長丁場な現場です。各キャラクターの衣装はどのように決めていくのでしょうか?
澤谷良(以下、澤谷):最初の段階では最後までの脚本はないので、全体のプロットから雰囲気を掴み、いただいているところまでの脚本を読んでイメージして、関わるスタッフさんや役者さんと衣装合わせする中で決めていきます。
ーー作品全体の色彩がカラフルなイメージがあるのですが、最初の段階でキャラクターごとのカラーを決められていたのですか?
澤谷:スタイリストによっては明確に登場人物のカラーを決める方もいらっしゃいますが、僕はカラーというよりも、アイテムで差別化を図ることができればと考えました。カラーで縛ってしまうと、どうしてもできることが限られてきてしまうので。とはいえ、律(佐藤健)は物静かで知的な要素から、幼少期から最終幕まで紺色を基調とした衣装にはなっています。鈴愛は、部屋のラジカセや、岐阜から上京するときに着ていた上着など、赤色のイメージがある方がいると思いますが、決して赤をメインカラーにと思っていたわけではないんです。80年代風の衣装を探しているときにたまたま赤色の上着をみつけて、それが鈴愛のイメージにぴったりとハマって。結果として、相対する登場人物や、部屋全体のバランスで鈴愛が赤い服を着ていることは多くなりました。あとは鈴愛はカラーというよりも、「ボーダーの服」ですね。
ーー高校生の頃から、30歳となった現在(7月26日放送時点)まで、ずっと着ているアイテムですね。
澤谷:鈴愛は高校を出てから「オフィス・ティンカーベル」に入り、その後は「100円ショップ大納言」と、いわゆるキャリアウーマン的な働き方は一度もしていません。その分、かっちりした衣装ではなく、常にどこかに緩さが出るようにはしたいと思っていました。とはいえ、永野さんはどんな衣装でも“着こなしてしまう”ので、わざと身体のラインが出ないように、着こなし過ぎない部分も大事にしています。