是枝裕和監督『万引き家族』、カンヌ映画祭最高賞に リリー・フランキーや松岡茉優らもコメント
第71回カンヌ国際映画祭の授賞式がフランス現地時間5月19日に行われ、是枝裕和監督の『万引き家族』が最高賞であるパルムドールを受賞した。
5月14日に行われた公式上映では、約9分に渡るスタンディングオベーションが起こり、受賞への期待が高まっていた本作。ジャン=リュック・ゴダール監督の『Le livre d'image(原題)』、スパイク・リー監督の『BlacKkKlansman(原題)』、ジャ・ジャンクー監督の『Ash Is Purest White(英題)』、イ・チャンドン監督の『Burning(原題)』、アスガー・ファルハディ監督の『Everybody Knows(原題)』 、濱口竜介監督の『寝ても覚めても』など21作品のコンペティション部門出品作の中から、見事パルムドールに選ばれた。
授賞式で、今回の審査委員長を務めたケイト・ブランシェットをはじめ、審査員のエイヴァ・デュヴァーネイ監督、クリステン・スチュワート、レア・セドゥ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督らが選ぶパルムドールに発表された是枝監督は、壇上で「さすがに足が震えています。この場にいられることが本当に幸せです。そしてこの映画祭に参加するといつも思いますが、映画をつくり続けていく勇気をもらいます。そして、対立している人と人を、隔てられている世界と世界を映画が繋ぐ力をもつのではないかという希望を感じます。今回みなさんにいただいた勇気と希望をまず一足早く戻ったスタッフとキャストに分かち合いたいですし、作品が選ばれたにも関わらず、ここに参加できなかったふたりの監督たちとも分かち合いたいですし、これから映画をつくり、ここを目指す若い映画の作り手たちとも分かち合いたいと思います。ありがとうございます」とスピーチを披露し、喜びを噛みしめながら力強いメッセージを贈った。
審査員長のブランシェットは、公式記者会見で「この作品は演技、監督、撮影、など総合的に素晴らしかった。選ぶにあたって気に入っていた作品を落とさないといけないのはつらかったし、難しかったけど最終的に私たちは意見が合致したの。『万引き家族』はとにかく素晴らしかったわ」とコメント。『メッセージ』『ブレードランナー 2049』などの作品で知られるヴィルヌーヴ監督も「この作品は私たちに深い感動を与えてくれました。とにかく恋に落ちてしまった。上品で素晴らしくとても深い。魂をわし掴みにされた」と作品を絶賛した。
是枝監督は授賞式後に行われた現地の囲み取材で、受賞が決まり壇上に上がったときのことを「あまり緊張するタイプではないが、めずらしく緊張していたので、とりあえず通訳している間にしゃべることを考えていました」と振り返る。また、パルムドールについて「悲願ってよく新聞に書かれていたんですけど、言ったことは一度もなくて……。賞というのは目標にするものではないといつも思っています。この場所に来て、クロージングセレモニーに立てるということはとても光栄なことですし、ましてや最高賞をいただくというのは、僕自身のキャリアにとっても大きなステップアップとなるでしょうし、これであと20年くらいはつくりたいなという勇気をもらった気がします」と話した。
なお、日本映画がカンヌ国際映画祭において最高賞にあたる同賞を受賞するのは、1997年の第50回カンヌ国際映画祭にて今村昌平監督の『うなぎ』が受賞して以来21年振り、カンヌのコンペにて日本映画が受賞するのは是枝監督の『そして父になる』以来5年振りとなった。
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の受賞結果と、『万引き家族』のキャストからのコメントは以下のとおり。
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門受賞結果
パルムドール(最高賞)
是枝裕和『万引き家族』
グランプリ
スパイク・リー『BlacKkKlansman(原題)』
審査員賞
ナディーン・ラバキー「Capernaum(英題)」
男優賞
マルチェロ・フォンテ『Dogman』(マッテオ・ガローネ監督)
監督賞
パヴェウ・パヴリコフスキ『Cold War(英題)』
脚本賞
アリーチェ・ロルヴァケル『Happy As Lazzaro(英題)』
ジャファル・パナヒ『3 Faces(英題)』
女優賞
サマール・イェスリャーモワ『Ayka』(セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督)
特別審査員賞
ジャン=リュック・ゴダール『The Image Book』
『万引き家族』キャスト コメント
リリー・フランキー
監督、本当に本当におめでとうございます!
獲ると信じていましたが、現実になると驚きと感動でじんましんが出ました(実話)。
監督、めちゃくちゃカッコいいです!
安藤サクラ
やったー! 本当におめでとうございます!!
こんな特別な瞬間を共有できること、こころから嬉しく思います!
万歳!
松岡茉優
あの家族はいたのだと肯定してもらったようで嬉しいです。
思い出をいつまでも愛しています。
樹木希林
往きの飛行機の避雷針が雷を受けました。
異様な響きと共に私の座席の天井が破け、酸素マスクや破片やゴミや、バラバラッと落ちて来ました。
「是枝さんもうくす玉が割れちゃったから賞はおしまい」-----の筈がめでたいことです。
城桧吏
是枝監督、関係者のみなさま
「パルムドール」受賞、本当におめでとうございます!
『万引き家族』という作品に出演できて、改めてとても嬉しい気持ちです。
監督と家族6人でカンヌへ行けて、一生の思い出になりました。
本当にありがとうございました。
佐々木みゆ
やったーーー!!!!!!!!
かんとくおめでとうございます!
みんなでさつえいがんばったから 、とってもうれしいです。はやくかぞくのみんなにあいたいです!
■公開情報
『万引き家族』
6月8日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督・脚本・編集:是枝裕和
音楽:細野晴臣(ビクターエンタテインメント)
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美、柄本明、高良健吾、池脇千鶴、樹木希林
配給:ギャガ
(c)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro
公式サイト:gaga.ne.jp/manbiki-kazoku