吉高由里子、パワハラ問題解決で“正義の味方”に 『正義のセ』思い込みがもたらしたもの

 第1話で描かれたテーマは“思い込み”だったと感じる。恩田のことを何度も告発しようとしたが「僕が訴えても誰も信じてくれないような気がして」と思い、誰にも相談できなかった向井。妻にも言えなかったのは、お腹に赤ちゃんがいるからこそ、余計な心配はかけたくない、言わない方が妻と子のためと思い込んでしまったのだろう。さらに、恩田も向井に詐欺行為がバレてしまうと思い込み、陰湿ないじめを行っていた。また、誰もが若い女性である凜々子のことを検事だと思わずに、隣にいる事務官の相原の方を検事だと思い込む姿も印象的だ。そんな凜々子もまた、確証はないが恩田が“悪”だと思い込んでいたからこそ、証拠が見つかるまでひたすら突っ走ったのである。彼女のその“思い込み”が結果的にお手柄になり、向井夫婦にとっての“正義の味方”にもなった。

 加害者にとっては「そんなこと」だが、被害者にとっては「人生が台無しになる」パワハラ問題。そして今回恩田が裏で行っていた水増し請求とその隠蔽は、昨今よくニュースで目にするワードである。『正義のセ』は今の時事問題を取り入れながら、今後どうのように“正義の味方”の在り方を示していくのだろうか。

(文=戸塚安友奈)

■放送情報
『正義のセ』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00~
出演:吉高由里子、安田顕、三浦翔平、広瀬アリス、平埜生成、夙川アトム、大野拓朗、塚地武雅、宮崎美子、寺脇康文、生瀬勝久
脚本:松田裕子、松本美弥子、梅田みか
原作:阿川佐和子「正義のセ」シリーズ(角川文庫)
音楽:得田真裕
演出:南雲聖一、明石広人、岩崎マリエ
制作協力:AXON
制作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/seigi-no-se/

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