吉高由里子、パワハラ問題解決で“正義の味方”に 『正義のセ』思い込みがもたらしたもの

 「私たちの正義の味方です」。

 日本テレビ系水曜ドラマ『正義のセ』の第1話が、4月11日に放送された。本作は、阿川佐和子による同名シリーズ小説を基にしたお仕事ドラマ。横浜地検で働く2年目の駆け出し検事・竹村凜々子(吉高由里子)が、周りを巻き込みながらも、まっすぐに事件に取り組み、検事として女性として成長していく姿を描く。

 第1話では、“パワハラ問題”とその裏に隠された“詐欺・隠蔽事件”が取り上げられた。横浜地方検察庁港南支部に赴任した凜々子は、バディを組むことになったベテラン事務官の相原(安田顕)とともに、ある傷害事件を担当することに。被害者は、建設会社に勤める向井俊哉(浅利陽介)。上司の恩田徹(石黒賢)から路地裏で暴行を受けて階段を転げ落ち、全治2か月の重傷を負ったと被害届を出していた。向井は今回の事件だけでなく、日常的に恩田から“パワハラ”もとい“いじめ”を受けていたという。

 だが、恩田は容疑を全面的に否認し、「向井が嘘をついて自分をおとしめようとしている」と主張する。事件当日に一緒にいた向井の同僚の田中啓介(六角慎司)も恩田と同じ証言をしており、また向井が恩田から暴行を受けていたという物証も目撃者もいない。客観的証拠が何もないため、このままでは不起訴が確実。さらに向井は会社の人事担当から「何で勝手に被害届なんて出したんだ!」と責められ、恩田からも「名誉棄損で訴える」と脅されていた。ついには、被害届を取り下げざるを得ない状況まで追い込まれてしまう。

 最終的には、凜々子の執念が勝ち、恩田を起訴することができた。向井夫婦も凜々子に「検事さんは私たちの正義の味方です」と笑顔で感謝を述べ、一件落着。

 しかし、被害者であるはずの向井が理不尽に責められる姿には胸が痛んだ。いじめられている側が、声を大にして助けを求められない理由がそこにあったように思う。たとえ勇気を出して「助けて」と叫んでも、“正義の味方”は現れない。チクったせいで余計いじめられるのではないだろうか、被害者であることを信じてもらえないのではないだろうか、周りが自分のことを厄介で面倒だと思うのではないだろうか、自分に興味がなく無視されるのではないだろうか……。気付いたら、むしろ状況は悪化しており、被害者であるはずの自分が追い込まれていたなんてこともあるかもしれない。だからこそ、向井も被害届を出すまでに1週間もかかったのだ。

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