木村拓哉、2017年は俳優として飛躍の年に? 『A LIFE~愛しき人~』『無限の住人』への期待

 さらに、このドラマ以上の転機となりそうなのが、4月29日公開の『無限の住人』。まだ予告編の第一弾が公開されただけの段階だが、不死身の主人公、万次を演じる木村は、いわゆるSMAP世代ではない若い層からも「かっこいい!」と評判を呼んでいる。片目を封じたままでの殺陣が見どころとなりそうだが、見事な剣さばきは映画『武士の一分』やドラマ『宮本武蔵』(テレビ朝日系)でも見せてきた。注目すべきポイントは、役柄と現在の彼の境遇のシンクロ。「不死身って、死ぬほどめんどくせぇ。」というキャッチコピーが示すとおり、死にたいのに死ねないという一種の呪いを背負ったキャラクターは、アイドルをやめられず常に大ヒットを期待される木村自身に重なる。

 かつて『古畑任三郎 vs SMAP』(フジテレビ系)に本人役で出演したときは、古畑(田村正和)から、「あなたのような攻撃的な人が一番ボロを出しやすい」とアリバイ崩しのターゲットにされた。つまり脚本の三谷幸喜には彼がそう見えたわけだ。『ハウルの動く城』でハウルの声を演じたときは、「男のいい加減さを持ったやつ」ということで、プロデューサーに選ばれた。木村に限ったことではないが、役者は自分の弱点をさらけ出すとき、最もエキサイティングで説得力のある芝居を見せるものだ。(参考:「ITmedia ビジネスオンライン」時間と空間をゆがめるのが特徴――ジブリ・鈴木敏夫氏が見る日本アニメの現在と未来(後編)

 1月から3月に『A LIFE~愛しき人~』が放送され、4月に『無限の住人』が公開と、解散直後の2017年上半期が今後を占う正念場となる木村拓哉。その大きな賭けが始まろうとしている。

(文=コウダエイコ)

■放送情報
日曜劇場『A LIFE〜愛しき人〜』
2017年1月15日(日)より、毎週日曜21時〜放送
出演:木村拓哉、竹内結子、松山ケンイチ、木村文乃、菜々緒、柄本明、田中泯、小林隆、及川光博、浅野忠信
脚本:橋部敦子
音楽:佐藤直紀
企画:植田博樹
プロデュース:瀬戸口克陽、東仲恵吾
演出:平川雄一朗、加藤新、木村ひさし
製作著作:TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/ALIFE/

関連記事