誰もが一度は経験したことのある思春期特有のつまずきや悩み、部活動で直面する壁など、共感ポイントが各所に散りばめられている『ハイキュー!!』。また、心理描写がリアルかつ丁寧に描かれていることもあり、視聴者（読者）は感情移入しやすい。地道な努力の積み重ねや、後々の試合につながる練習（伏線）、何から学び、どう活かしたのかなど、成長過程もしっかり描かれているからこそ、試合のシーンでの緊張感や興奮が生々しい。加えて、負けたときの悔しさ、勝ったときの喜びがダイレクトに心に響く。物語の中のキャラクターとともに、気づいたら私も感情的になって涙を流していることもしばしばだ。

　先述した通り、女性からの支持が厚い『ハイキュー!!』だが、内容は友情、努力、勝利という『少年ジャンプ』の王道。言わずと知れた名作マンガ『SLAM DUNK』のドンピシャ世代をはじめ、老若男女幅広い世代が楽しめる。原作はもちろんのことながら、アニメもまた面白い。影の付け方や、体育館の「キュッ、キュッ」というシューズ音、躍動感溢れる動きなど、一つひとつが丁寧かつリアルに描写されている。そういった緻密さがさらに物語に深みを与えているのだ。

　子どもたちには夢を与え、大人たちには青春時代を思い出させてくれる『ハイキュー!!』。新たなスポーツアニメ（漫画）の金字塔として、多くの人たちに親しまれていくに違いない。

（文＝戸塚安友奈）