アメリカ史上最悪の銃乱射事件を、映画界のセレブたちはどう受け止めたか?

 いくら身近に銃の存在があるとはいえ、銃乱射事件はごく普通のアメリカ人にとっても恐ろしく、非現実的な出来事だ。人々に与える傷や衝撃が大きいからこそ、ハリウッドでは映画で事件の反省と検証を試みるべく、これまでも銃乱射事件を題材にした作品が何本も製作されてきた。例えば1999年に米コロラド州コロンバイン高校で起きた銃乱射事件をテーマに“銃規制”というタブーに切り込んだ、マイケル・ムーア監督によるドキュメンタリー映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』、同事件に衝撃を受けたガス・ヴァン・サント監督が撮り上げた『エレファント』、俳優のウィリアム・H・メイシーが初メガホンをとり、銃乱射事件で息子を失った父親の深い悲しみを描く『君が生きた証』などの作品が挙げられる。

 アメリカでは銃乱射事件が起きる度に毎回“銃規制問題”が蒸し返されるものの、いまだに“銃を持つ自由”を叫んで銃規制に反対する全米ライフル協会をはじめとする人々と、“銃のない平和な世界”を願う人々の溝はなかなか埋まらない。共和党大統領候補の実業家ドナルド・トランプ氏は事件を受け、以前からの“イスラム入国禁止”の持論を声高に語り始め、「あの場に銃さえあればあの“son of a b****(犯人)”を倒すことができたはず」などと発言。(参考:Trump calls Orlando shooter a 'son of a b----')民主党大統領候補のヒラリー・クリントン前国務長官は、事件の犠牲者と家族に哀悼の意を表しながら、これはテロ行為だと主張し、銃規制の必要性を訴えている。史上最悪の銃乱射事件に対し、ハリウッドセレブたちが切々と訴えた平和への祈りは、今後人々にどのような影響を与えるのだろうか?

■平野敦子
映画&猫専門フリーライター。著書に『新版 人に育てられたシロクマ・ピース』『ふたつの名前で愛された犬』(以上学研プラス)。猫びより等に寄稿中。年間約400本の映画を鑑賞。旅行中毒で、今後は台湾と大分と熊本を訪問予定。死ぬ前に観たい映画は『哀愁』(笑)。

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