成馬零一の直球ドラマ評論『ゆとりですがなにか』

ゆとり世代と団塊の世代の対話は何を示す? 『ゆとりですがなにか』第七話で描かれた心の弱さ

『ゆとりですがなにか』第七話 場面写真

 重蔵が佐賀に帰った後、茜の仙台支店への転勤が正式に決まる。茜が抜けたエリアマネージャーには坂間が昇進し、山岸は坂間が務めていた「鳥の民」高円寺店の店長となる。佐倉悦子もアルバイトで働くようになり、いつしか「鳥の民」は、みんなのたまり場となっていく。「弱い自分をさらけだせ」と言う一方で、そんな弱さをしっかりと受け止めてくれる共同体もしっかりと描いているのだ。

 同じ頃、道上まりぶ(柳楽優弥)は、おっぱいパブとガールズバーを放りだして、何と植木屋で働くことに。坂間に「子ども」だと説教されたからか、まりぶもまた、自分の弱さと向き合いはじめていた。

 ゆとり世代の若者たちを描いてきた本作だが、ここに来て、日本で暮らす前世代の男が抱える強い自分を鼓舞するあまり、弱さをさらけ出すことができない。という、全世代の日本人男性が抱え込んでいる普遍的な問題に肉薄しつつある。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■番組情報
日本テレビ系日曜ドラマ『ゆとりですがなにか』
毎週日曜 22:30スタート(第八話は6月5日放送)
出演:岡田将生 松坂桃李 柳楽優弥 安藤サクラ 吉田鋼太郎
脚本:宮藤官九郎
「ゆとりですがなにか」公式サイト
(C)日本テレビ

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