注目作続くダークファンタジー漫画 『カグラバチ』『SAKAMOTO DAYS』……2025年を盛り上げる作品は?

異色と王道をミックス

  一部で熱狂的な人気を獲得しつつある連載として、『鵺の陰陽師』にも注目したい。同作は幻妖(げんよう)が見える高校生・夜島学郎が、校舎に住み着く美しい幻妖・鵺と出会うことから物語が始まる。不思議な力を手に入れた夜島は、激しい戦いへと巻き込まれていく。

  壮大な設定に基づいたバトルだけでなく、甘酸っぱいラブコメが繰り広げられるのも同作の魅力。明るい先輩の周防七咲に陰陽師の旧家出身で闇を背負う藤乃代葉、かつて生き別れた“僕っ子”の義妹・留袖四衲と、魅力的なヒロインたちが読者を虜にしている。

  そのストーリーやキャラクター設定には、2000年代にブームを起こしたビジュアルノベルゲームの影響を感じさせる部分も。とくに代葉のエピソードでは、『Fate/stay night』を連想する読者が続出し、大きな話題を呼んでいた。

  今年始まった新連載陣にも期待作は多いが、なかでも注目は『願いのアストロ』。大ヒット漫画『東京卍リベンジャーズ』の作者・和久井健による最新作だ。

  物語の舞台となるのは、未知の流星群が直撃したことをきっかけに、多くの人々が謎の能力「アストロ」に目覚めてしまった日本。極道「世剣組」組長の一人息子・世剣ヒバルは、義侠心と強力な異能を携えて、ディストピアじみた世界を渡り歩いていく。

  任侠と能力バトルという異色の組み合わせは、一見奇をてらったように見えるかもしれない。しかし、ヒバルがアストロの能力で悪を成敗し、「世剣組」の兄弟たちと協力、和解して仲間を得ていくさまは、少年マンガの王道をなぞる展開だと言えるだろう。

  新人漫画家のデビュー作からベテラン漫画家の新境地まで、さまざまな連載作品がしのぎを削る『週刊少年ジャンプ』。次なる看板マンガが生まれる日は、そう遠くないのかもしれない。

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