【漫画】社会人一年目、仕事で疲弊しきった心を救うのは……BL漫画『静かな場所から連れ出して』が心に響く
新卒入社の人へエールを送る作品
――『静かな場所から連れ出して』を制作した理由を教えてください。
あにむ:Xで、仕事を始めたばかりで悩んでいる人の投稿を目にした時、「自分も入社当初は同じような思いをしていたな」と感じたことがきっかけです。今では仕事も落ち着き、その時期をある程度乗り越えたので、かつての自分と同じように悩んでいる人の力になれたらと思いました。
――“働き始めた人へのエール”というテーマが前提なのですね。
あにむ:はい。「仕事に慣れた自分が、新卒入社した当時の自分と同じ世界にいたら、どんな言葉をかけるだろう?」というところからストーリーを膨らませていきました。
――ちなみに、目々澤が明日を迎えたくないと感じる中で、なぜ映画鑑賞を選んだのですか?
あにむ:「人の感情を動かす力が2時間に凝縮された“映画”というコンテンツを見ても何も感じない」という点に、病的な無感動さを表現できると思ったからです。2人が鑑賞していた犬の映画は、私が何度見ても必ず泣いてしまう映画をモデルにしていますが、「それでも泣かない目々澤って……」と思っています。
――目々澤と朝井出はどのように誕生したキャラクターですか?
あにむ:目々澤は冷静だけど優しい性格、朝井出は純粋ゆえに傷つきやすい性格として作りました。見た目でも受けと攻めがわかりやすいデザインにしています。また、目々澤には今の自分を、朝井出には働き始めた時の自分を重ねてセリフを考えました。
――後半の目々澤のセリフは説教くさくなりがちですが、このシーンのセリフはどのように決めたのですか?
あにむ:「説教くさくならないように」と細心の注意を払い、何度もセリフを修正しました。あくまで決定権は朝井出にあることを意識して、目々澤は自分の考えを述べるにとどめるよう心がけました。
――スキンシップや明確な好意の表現はありませんでしたが、温かいBL作品として楽しめました。2人の距離感を描く際に気をつけたことはありますか?
あにむ:本作が伝えたいテーマがぼやけないよう、恋愛部分はあまり描きませんでした。ただ、「今後この2人が付き合う未来がある」という想像ができるBL作品にしています。作中にBL要素の種を散りばめているので、今後の2人の恋愛を自由に想像してもらえたらと思っています。
――今後の漫画制作の目標はありますか?
あにむ:楽しんで描くことを一番の目標にしています。未来の自分が読んでも「面白い」と思える漫画を描いていきたいです。また、いつか同人誌を出してみたいとも考えています。