学園青春漫画 恋愛、スポーツ、スクールライフ……高校が舞台の名作漫画から学んだこと

さまざまな恋の形から学べること『青い花』

 恋愛もまた青春において重要な要素。高校生の甘酸っぱい恋を描いた漫画は無数に存在するが、そのなかでも鮮烈に記憶に残る名作といえば志村貴子の『青い花』だ。

 2004年から2013年にかけて『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)で連載され、TVアニメ化もされた人気作品で、主に女性同士の恋愛を描いた“百合”ジャンルの漫画となっている。

 舞台は鎌倉、江ノ電沿線にある2つの女子高。絵画のように繊細なタッチで描き出される景色は美しく、物語をロマンチックに盛り上げてくれる。しかし恋は美しいだけのものではなく、作中ではどうにもならない失恋のほろ苦い痛みが克明に描き出されていく。

 主人公は大人っぽい見た目でありながら引っ込み思案な少女・万城目ふみと、久しぶりに彼女と再会した幼馴染み・奥平あきらの2人。いかにも“女子高の王子様”然とした先輩・杉本恭己なども絡み合いつつ、憧れの人との背伸びした恋愛ではなく、等身大の感情と向き合っていく少女たちの姿が描かれている。

 ちなみに作者は『青い花』以外の作品でも、痛みを伴う青春の日々を主題としてきた。たとえば3月15日に完結した『淡島百景』は舞台に立つことを夢見て歌劇学校に通う少女たちの物語で、「第19回文化庁メディア芸術祭」の漫画部門優秀賞を受賞している。

 勉強に友情、恋に部活と大忙しの高校生活。高校生ではない人でも、学園青春漫画を読んで懐かしい思い出に浸ってみてほしい。

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