『地球の歩き方』ユニークな多角展開のきっかけはコロナ禍 ピンチをチャンスに変えたブランド力の原点

 これだけのコラボレーションを可能にしたのは、やはりあの統一感のある表紙のビジュアルイメージと、信頼できるガイドブックとして長年親しまれてきた点が大きいだろう。たとえ内容を読んだことがなくても、45年にわたって書店に並び続けた定番ガイドブックの表紙は誰もが見たことがあるものであり、その知名度と長期間刊行を続けたことによる信頼性の高さは、まさに『地球の歩き方』のブランド価値そのものだった。

 『地球の歩き方』にとってコロナ禍がピンチだったのは間違いなく、ブランドイメージを武器にそれを逆手に取った点こそが重要である。この『地球の歩き方』と似たような事例としては、『学研の図鑑』がスーパー戦隊やキン肉マンとコラボした例や、JTBパブリッシングの『るるぶ』が『新世紀エヴァンゲリオン』や『ONE PIECE』などとコラボした例が挙げられる。長年刊行を続けてパブリックイメージが定まっている出版物であれば、広く応用できる方法論であることがわかる。長期間刊行を続けてブランドイメージの定まっている出版物については、この流れは止まらないと思われる。

 最後に、『地球の歩き方』では今後どのようなコラボ商品を予定しているのか、福井氏に伺ってみた。

「サンヨー食品のサッポロ一番さんとのコラボで、カップ麺を作る予定です。食品や雑貨など、まだ公にはできないのですが製作中にものがいくつもあります」

 「『地球の歩き方』のカップ麺」と言われるだけで、もう食べてみたくなるインパクトがある。今後も、『地球の歩き方』の快進撃は続きそうだ。

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『地球の歩き方 ムー』©地球の歩き方/Gakken

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