10位の白鳥士郎による7月14日発売の『りゅうおうのおしごと!18』（GA文庫）も、藤井聡太七冠の誕生で湧く将棋への関心をバックに注目を集めそう。現実が漫画やライトノベルの先を行ってしまっている状況だが、こちらはこちらで主人公の九頭竜八一によるライバルとのタイトル戦と、弟子の雛鶴あいと夜叉神天衣の対局が進む中で、将棋に向き合う棋士の心情に迫ることができるはずだ。

　19位に最新刊『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います7』（電撃文庫）が入った香坂マトのシリーズも紹介。ダンジョンに潜る冒険者たちを相手に事務手続きなどをしているギルドの受付嬢アリナが主人公だが、不甲斐ない冒険者たちがダンジョンの攻略に手間取ることが自分の仕事を忙しくしていると考えたアリナは、それなら自分がボスを退治してしまえば良いとダンジョンに潜り、誰よりも強大な力を振るってみせる。

　荒くれ者が多い冒険者たちの対応に追われる受付嬢の仕事の描写は、役所や企業の接客カウンターに座る人たちの共感をよび、自分もダンジョン攻略ならぬクレーマー退治に向かいたいと思わせる。一方で、顔を隠して「処刑人」という別名でダンジョンに潜り、大鎚を振るってモンスターを圧倒するアリナの戦いぶりは実に痛快で、読んで心がスカッとする。もっとも、最新刊ではそんなアリナでも圧倒される敵が現れ、対応に追われることになる。不穏なラストに続く次巻で、アリナの残業なき平穏な日々は守られるのか否か。注目だ。