ルパンや次元や五ェ門とは違って、物語で起きている事件の中心に近いところに転生した2人の状況から、舞台となっている異世界で何が起こっているかが見えてくる。そこで振りまかれる不二子の妖艶さは相変わらずとして、部下でもないのに騎士たちを警官隊のように従え、ルパンを追い回す銭形にはもしかしたら“警部”というスキルでも備わっているのではないかと思えてくる。これもシリーズならではの特徴だ。

　異世界に召喚された有名な漫画のキャラクターでは、あの課長・島耕作がすでにいて、『騎士団長 島耕作』シリーズの中で“島耕作”としか言い様のないスキルを発揮して成り上がっていく姿を見せてくれた。国民的ともいえる人気シリーズならではの特徴を活かしつつ、異世界へと舞台を移して起こる現代とは違うシチュエーションを味わいつつ、やっぱりそうでなければといった“お約束”に歓喜する。『騎士団長 島耕作』や『ルパン三世 異世界の姫君』が大勢に読まれれば、続く有名シリーズの異世界転移・転生版も出てくるかもしれない。

　異世界に迷い込んだ井之頭五郎が、「腹が、減った」と言ってドラゴンのステーキやスライムの寒天を食べる『異世界 孤独のグルメ』のような。どうだろう。