最高傑作の写真集が原動力に

――本作に収録されているインタビューで「これが柏木由紀の最高傑作です」と語っていましたが、細部までこだわった分、企画段階から既にこのような傑作が生まれる予感はありましたか？

柏木：いえ、むしろ不安の方が大きかったです！　要望通りいろんなシチュエーションで撮っていただいて、ひとつひとつの撮影に満足感はあったんですけど、一冊にまとめるとなるとゴチャゴチャしてしまうんじゃないかと。編集さんとデザイナーさんが綺麗にまとめてくださって助かりました。出来上がった写真集を見て、ようやく安心できましたね。

――確かにデザイナーの平原史郎さんの構成も面白いですよね。そして1年かけての撮影だと、四季を意識したカットが増えそうですが、そういう構成にはしてないですよね。

柏木：四季はあまり意識していなかったですね。冒頭にコートを着ているカットを持ってきたのには、理由があります。まず、コートを着てイルミネーションを見ているシチュエーションって、雑誌のグラビアだと絶対にやらないじゃないですか。だからこそ、写真集には必ず入れてもらいたいとお願いしていて。

　やはりみなさん、写真集を開く瞬間はワクワクすると思いますし、そのとき、いちばん最初に出てくるカットは最重要ですよね。そこで水着姿のカットが出てくると王道な写真集になりますが、あえて、あまりグラビアで見ることのない雰囲気のカットが出てきたら、「これは一体どんな写真集なんだろう」とさらに期待が膨らむんじゃないかなぁと思ったんです。

――構成にも柏木さんのこだわりがあったんですね。構成でいうと、インタビューページが真ん中に来ているのも珍しいですよね。普通なら巻末にあることが多いですが、これは何故ですか？

柏木：これは……何ででしたっけ？

担当編集：インタビューページも作品の一部だからです！　本作は、柏木さんのこだわりを聞きながら撮影を進めた関係もあって、インタビュー内容も濃厚で、「アイドルのバイブル」というテーマに深く繋がる重要なパートにもなっています。その位置付けを考えたときに、インタビューページはアイドル衣装パートにいれるべきだと思いました。そして、全体的な構成を組んでいくなかで、アイドル衣装パートは真ん中に置くのがいちばん収まりがよかったので、インタビューページも真ん中になりました。

――インタビューページは、紙の種類も変えていますよね？

担当編集：はい。柏木さんにも相談して、インタビューページの重要性を示すためにも、紙を変えました。ほかにも沖縄編とファッション水着シーンはマット紙、それ以外はコート紙を使って、見え方を工夫しています。インタビューページは、ちょうどコート紙とマット紙を繋ぐ間にあたるので、折丁を考えたときにも都合がよかったですね。場面ごとに紙を変えたために、泣く泣く入れられなかったカットもたくさんありましたが、そのおかげで全体的にまとまりを出せたと思っています。

柏木：本当に、入れたくても入れられなかったカットが死ぬほどあるんですよ！　インタビューもだいぶ喋りましたし（笑）、惜しみなく自分を出し切れたので、もうしばらく写真集は作れそうにありません。数年前からぼんやりと、20代最後の記念に写真集を出したいとは思っていたし、29歳の1年間を撮影してもらって、30歳の誕生日に発売という形で念願が叶ったので、私としては大大大満足です！

――まさしく理想的なタイミングでしたね。

柏木：そうなんです！　ただ、誕生日（発売日）の前に手術のために入院することになり、体調次第では写真集の発売日もズラさないといけないかもって話も出ていました。それでも、絶対に30歳の誕生日出したかったですし、その日に出すことに意味があるわけです。入院中は早く復帰して、予定通り写真集をみなさんにお届けすることばかり考えていました。

　その気持ちが原動力となって、想像以上に早く回復できた気がします。写真集の存在が入院中の支えになっていたのは、間違いないです……って、手術の直後から写真集のことを考えてるなんて、私、相当仕事が好きですよね（笑）。

――本当にそうだと思います（笑）。まだ未見の方に本作の注目ポイントを教えてください。

柏木：ページをめくるたびに服を着ていたり、服を脱いでいたり、いろんなシチュエーションを楽しんでいただける写真集になりました。グラビアが好きな方やファッションが好きな方、最近AKB48のことが気になるよって方など、どんな方にも刺さるページが必ずあるはずです。私の30歳のお祝いに是非……なんて（笑）。でも、たくさんの方に見てもらえたら、これからもグラビアを頑張り続けられると思うので、よろしくお願いします！

■書籍情報
柏木由紀写真集 『Experience』
定価：2,200円（税込）
出版社：集英社