名言③「……いや、うん　相当可愛いから　格好も安心して　色々察して」（8巻）

　羽花と界が急接近してから、より一層名言が増えていくのも本作の見どころである。どの言葉をチョイスするか非常に頭を悩ませたのだが、界が余裕を失った台詞を紹介したい。

　遂に付き合った2人は全く恋人らしいことをしていないものの、ようやく8巻にて学校の外で会うことに。もちろんクラスメイトらの協力あってのことだが、羽花は彼へ買ったばかりの“勝負服”を見せることに成功。いつもと違う雰囲気に、友人からも大絶賛の嵐だったのだ。

　しかしひょんなことから界のことを好む女性から、邪魔が入ってしまう。なんと羽花は着用していた洋服の着方を間違っていると嫌味ったらしくミスを指摘され、大好きな彼の前で恥をかかされることに。

　恥ずかしさのあまり勢いで席を外すも、すかさず界が間に入り、傷ついた彼女をそっと守る。外に出てしまった彼女を追いかけ、いつもの男らしさを見せてくれた。

　人前で思いきりキスするなど、今までの2人には考えられない光景が読者を待っている。「羨ましい……」そう呟いてしまった女性は一体何人いるだろうか。

　界を前にすると、女子モードになってしまうのが羽花の可愛らしい一面でもある。2人で一緒にいることさえ嬉しいため、離れたくないあまりに「やだ、行かないで」と界に甘える姿も。

　いつもはクールな界だが、2人の時だけに見せる羽花のキュートな言動にはもうメロメロだったご様子。余裕をなくして顔は真っ赤、「お前それ、わざとやってる？天然？」という言葉から、羽花に向かって「……いや、うん　相当可愛いから　格好も安心して　色々察して」とたどたどしく伝えるのだった。

　常に冷静で表情もほとんど変わらないため、ここまであたふたした界を見られるのは読者としても嬉しいこと。淡々としたキャラクターだからこそ、実写版でもそのギャップをたんと見せてほしい。照れるラウールを想像するだけで……ファンの方は甘酸っぱい気持ちでいっぱいになってしまうことだろう。

　『ハニーレモンソーダ』では8か月の時を経て、ようやく2人が結ばれることとなる。八美津高校、レモン色の金髪、などにちなんで“8”か月、といった数字も何だか愛しく感じてしまう。

　物語が進むにつれて名言もそうだが、ドキドキも増えていくのが本作の魅力の一つ。実写版では付き合った羽花と界はどのように描かれるのかも非常に気になるところだ。

　公開間近となった今だからこそ、ぜひ『ハニーレモンソーダ』の世界に触れていただきたく思う。事前知識があるとより、胸キュンすること間違いなしだ。

■たかなし亜妖
平成生まれのサブカル系ライター。ゲームシナリオライターとしての顔も持つ。得意技は飲み歩きと自炊。趣味はホラー映画鑑賞。

■書籍情報
『ハニーレモンソーダ（7）』
村田真優 著
定価：484円（税込）
出版社：集英社