Canna Lily、音楽を楽しむ気持ちがバンドをひとつに 新曲続々! 2ndワンマンで見せたメンバーの結束

 今年6月の初ワンマンライブ『未明に咲く花』から約4カ月。ゲーム『ガールズバンドクライ First Riff』発の5人組ロックバンド・Canna Lilyが、10月31日に東京・duo MUSIC EXCHANGEで2ndワンマンライブ『枯れ歌の情景』を開催した。当初9月に予定されていた公演の振替となり、昼夜2部制で実現した今回のワンマン。新曲3曲の初披露という話題もあったが、聴き進めるうちに惹かれたのは、個々の音が重なり合うことで生まれる、Canna Lilyならではのバンドサウンドだった。本稿では第2部の模様を振り返りたい。

 Canna Lilyが掲げるテーマの一つに“がむしゃら”がある。確かに箭野 結羽(Vo/橘田 楓役)のボーカルには、感情を真っ直ぐに届けようとする勢いがあるし、バンド全体からも前のめりな熱量が伝わってくる。ただ、彼女たちのロックは決して勢い任せではない。早坂 莉寧(Gt/星 亜矢芽役)のギター、紫乃月 姫咲(Ba/榊原 紫苑役)のベース、椎名 在音(Dr/千ヶ崎 竜胆役)のドラム、佐野 櫻(Key/雪志摩 ナズナ役)のキーボード。個々の音を聴く楽しさがありながら、それらが重なったときには一つのバンドサウンドとしてまとまる。この日のステージは、その強みを随所で感じさせるものだった。

 オープニングを飾ったのは、この日が初披露となる「限界を抜け出して」だ。結羽の「みんなで手を挙げて盛り上がっていきましょうー!」という呼びかけに応え、客席からは早くも腕が上がる。「ヘイ! ヘイ!」という掛け声も飛び出し、初めて耳にするはずの曲が、その場でライブの一部になっていく。新曲を1曲目に置くのは大胆な選択にも見えるが、それを成立させるだけの演奏と、観客を巻き込む力があった。

 最初のMCでは、結羽が「2部でもこんなにたくさん来てくださってありがとうございます」と感謝を伝え、メンバーがそれぞれ自己紹介。ハロウィン当日ということで、莉寧は観客と一緒に大きなかぼちゃになりたいと話し、在音は持参したぬいぐるみを紹介する場面も。演奏中の真剣な表情から一転、話し始めれば賑やかで、どこか自由な5人なのである。

 続く「残像の高鳴り」は、松隈ケンタがプロデュースを手がけたデビュー曲。スクリーンに映像が流れ、結羽の「いくよー!」を合図に観客が拳を突き上げる。ギターが力強く鳴る場面でも、ベースとドラムがリズムの芯を作り、キーボードが音に奥行きを与える。5人編成のバンドは、それぞれが音を出せばいいというものではない。とりわけギターとキーボードが共存するCanna Lilyの場合、互いの音をどう生かすかが曲の印象を左右する。その点で、彼女たちのアンサンブルにはすでに確かなバランス感覚が備わっているように思う。

 「今を超えて」では、櫻の切ないキーボードの音色から、爽やかなロックサウンドへと変化していく展開が印象的だった。鍵盤がまず曲の情景を描き、そこにギター、ベース、ドラムが加わることで、音楽の景色が一気に開けていく。静かな導入から力強いバンド演奏への切り替わりが心地よく、音に厚みが増しても、それぞれの楽器の存在感が失われない。

 MCでは、公演延期を挟んだ練習期間にメンバー同士の距離がさらに縮まったという話もあった。最近は食事の順番を待つ間にも人狼ゲームをするほど夢中になっているそうで、嘘が苦手なメンバーの話になると、視線がキーボードの櫻に集まる。莉寧の驚くほど丈の長い靴下も話題になり、櫻からは結羽がセミの抜け殻を食べたというエピソードまで語られた。結羽が「楽しい明るいバンドになってきたんじゃないかなと思います」と話していたのも納得だ。

 中盤の初披露曲「僕にとって大切なもの」を経て、「自由への奔走」で客席から自然と手拍子が起こると、さらに新曲「Days」、から「キズナ」へと続いた。初ワンマンでは限られた持ち曲をアレンジしながら構成していたが、今回は新曲が加わったことで、セットリストそのものに幅が生まれている。すでに高い技術を持つ5人が、これからどんな楽曲を自分たちの音にしていくのか。新曲を続けて聴くほど、そんな楽しみも膨らんでいった。

 本編最後の曲を前に、5人が一人ずつ思いを語った。莉寧は冒頭のかぼちゃの話を振り返り、客席を見渡して「めちゃくちゃかぼちゃでした」と笑わせつつ、「最後の1曲、みんなで一致団結して、一個になりたいですよね」と呼びかける。在音は初ワンマンでの自分の言葉を思い出し、「1stワンマンライブの時に私が、この空間、このすべてが私の人生で一番最高の瞬間だって言ったんですけど、ちょっと更新しちゃいました」と笑顔を見せた。櫻は「なんかすごいあったかくて、あったかくて楽しくて、もう終わっちゃうのかなと思うとめっちゃ寂しいんですけど」と名残惜しそうに話し、「帰るまでがライブです」と客席に声をかけた。

 姫咲は、まだまだステージをジャンプしたり走り回ったりしたいと話したうえで、「大きいステージにね、みんなで一緒に行きたいので、これからもまだまだCanna Lilyのことを応援してくださるととっても嬉しいです」と語る。最後に結羽は、この日の時間があっという間だったと振り返り、「皆さんとよりCanna Lilyを大きく、楽しいバンドに、素敵なバンドにしていけたらなと思っています」と言葉を重ねた。話す内容も言葉の選び方も5人それぞれ。それでも、今のライブを心から楽しんでいることと、さらに先へ進みたいという気持ちは共通していた。

 その思いを受けて始まった本編最後の「変わらない世界と歌」は、8月にリリースされた松隈プロデュースのギターロックナンバーだ。荒々しいギターと疾走するリズム、その間を縫うように響くキーボード。勢いのある曲だからこそ、それぞれのパートが自分の役割を見失わないことの大切さがわかる。音を重ねるだけでなく、一つのサウンドに仕上げる力。曲が持つ熱量を、演奏の精度によってさらに高めているのだ。

 アンコールでは、ハロウィンらしいカチューシャを着けたメンバーが再登場した。ここでは、今回のライブから楽器隊がコーラスを担当する曲が増えたという話も。すでに厚みのあるバンドサウンドに、また一つ表現の選択肢が加わったわけだ。「僕にとって大切なもの」を届けたのち、2027年2月7日に東京・EX THEATER ROPPONGIで3rdワンマンライブ『迂回する旋律』を開催することを発表。最後は「Days」で2度目のワンマンを締めくくった。

 個々の技術の高さに加えて、何よりも音楽を楽しむ気持ちを忘れない5人。今後さらにライブ経験を重ねることで、バンドとしての完成度がどこまで高まっていくのか。次のワンマンでは、そんな成長にも期待したい。Canna Lilyをもっと大きく、楽しいバンドにしたいという結羽の言葉を裏付けていたのは、この日の5人の演奏そのものだった。

■ライブ情報
『Canna Lily 3rd ONE-MAN LIVE「迂回する旋律」』
日程:2027年2月7日(日)
会場:東京都 EX THEATER ROPPONGI
※詳細は後日発表

■関連リンク
Canna Lily 公式X:https://x.com/CannaLily_GBC
Canna Lily 公式サイト:https://cannalily-official.com/

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