HR/HMファンから称賛の嵐! MICHAEL SCHENKER、POWERWOLFらが起こす熱狂 『FULL METAL JAPAN』徹底レポ

DAY2(10月25日)

HIBRIA

 DAY2はブラジルの秘宝・HIBRIAのステージから開始。今年8月に最新作『On The Shortness Of Life』をリリースしたばかりだが、今回はアンジェロ・パリゾット(Vo)、アベル・カマルゴ(Gt)、ヴェレス(Gt)、ウィリアム・シャック(Dr)、ベニュール・リマ(Ba)の現メンバーにユーリ・サンソン(Vo)、レナート・オソーリオ(Gt)の初期メンバーをフィーチャーする、日本だけの特別編成。セットリストも初期4作からの楽曲が中心で、オープニングの「Steel Lord On Wheels」からツインボーカル&トリプルギターによる総勢7名の大所帯ステージが展開されていく。アンジェロとユーリは時にそれぞれのパートを歌い繋ぎ、サビでは強烈なハイトーンを用いたハモリで観客をノックアウト。ライブ後半には現編成での新曲「Pulse」もしっかり披露され、ラストは「Stare At Yourself」「Defying The Rules」「Living Under Ice」のスペシャルメドレーで豪快に締め括った。

PRETTY MAIDS

 ロニー・アトキンス(Vo)がステージ4の肺がんを公表して以降、バンドとして表立った活動がしばらく止まってしまったPRETTY MAIDS。ここ数年は地元デンマークやヨーロッパ圏で限定的なライブ活動を行なってきたが、日本でのステージは実に8年ぶり。満を持して『FULL METAL JAPAN 2026』の舞台に登場した彼らは、「Mother Of All Lies」にて待望のライブをスタートさせた。音響のテクニカルな問題か、ライブ序盤こそロニーのボーカルが聴き取りにくい状態だったが、曲が進むにつれて徐々に解消。「Back To Back」「Red, Hot And Heavy」など初期の名曲や「Pandemonium」や「I.N.V.U」といった2010年代の楽曲を交えつつ、パワフルでメロディアスな良曲で観る者を惹きつけていく。また、「Please Don't Leave Me」ではケン・ハマー(Gt)がお馴染みのギターフレーズを奏でた瞬間に大歓声が湧き起こるなど、改めて日本での人気の高さを証明してみせた。ライブ終盤にはロニーの口から「来年はニューアルバムを出すよ」という嬉しい発言も飛び出す場面もあり、バンドにとっても日本のファンにとっても忘れられないひとときとなったことだろう。

LOUDNESS

 今年結成45周年を迎えるLOUDNESSは、日本が世界に誇る名メタルチューン「CRAZY NIGHTS」で豪快な幕開けを飾る。圧倒的な音量・音圧で進行するステージは、まさに“名は体を表す”ということわざどおりで、80年代の人気曲に「SOUL ON FIRE」「THE POWER OF TRUTH」など現メンバーになって以降の楽曲を交えた現在進行形のセットリストで、日本のメタルシーンを牽引する王者ぶりを証明。曲の合間には二井原実(Vo)が「日本語でMCすると、ホッとするでしょ?」と客席に呼びかけて、場を和ませる場面もあったが、いざ曲に戻ると高崎晃(Gt)のワイルドかつテクニカルなギタープレイを軸にしたアンサンブルと、年齢を感じさせない二井原の咆哮で会場の空気を一転させる。ライブ終盤には「CRAZY DOCTOR」「IN THE MIRROR」といったお馴染みの曲も飛び出し、最後はバンドを代表するスピードナンバー「S.D.I.」で壮絶なクライマックスを迎えた。

ANGRA

 DAY2ダブルヘッドライナーの1組目ANGRAは、今年加入したばかりのアリリオ・ネット(Vo)を含む編成で初の日本公演。かつ、MEGADETH加入のため2015年にバンドを離れたキコ・ルーレイロ(Gt)と2001年から約10年にわたりフロントマンを務めたエドゥ・ファラスキ(Vo)をゲストに迎えた特別編成でステージに挑む。今年は2ndアルバム『Holy Land』(1996年)発売30周年ということもあり、ライブは同作の幕開けを飾る「Nothing To Say」にてスタート。映画を思わせる映像演出を交え、壮大なスケール感を作り上げていく。新メンバーのアリリオはANGRAと同じブラジルのバンドSHAMAN出身(奇しくも同バンドはANGRAの初代シンガーであるアンドレ・マトスが立ち上げ、アリリオはアンドレ逝去後に加入)というキャリアの持ち主で、過去のフロントマンにも引けを取らない実力の持ち主。歴代の人気ナンバーを難なく歌唱し、オーディエンスを驚かせ続ける。

 ライブ中盤、唯一のオリジナルメンバーであるラファエル・ビッテンコート(Gt)が「ANGRAがスタートしたのは1991年10月。今月で35周年を迎えたよ」と伝えると、ステージ上にお祝いのケーキが運ばれる場面もあり、アリリオはその空気を引き継気ながら初期メンバーのアンドレへの敬意を示すように、ケイト・ブッシュのカバー「Wuthering Heights」を、ピアノを弾きながら歌唱してみせる。そして、10分を超える大作「Carolina IV」から始まる後半戦からはキコがステージに上がり、この難易度の高いプログレッシヴな楽曲をトリプルギター編成で表現。また、「Nova Era」からはエドゥが参加して往年のファンを喜ばせることに。終盤にはアリリオ、エドゥのツインボーカル、キコを含むトリプルギター編成に、さらなるゲストとしてLOUDNESSの高崎晃がサプライズ出演し、DEEP PURPLE「Burn」で激アツなセッションを繰り広げた。この熱狂ぶりを引き継ぐように、最後に投入された名曲「Carry On」では天の向こう側にいるアンドレへ向けて、アリリオとエドゥが強烈なハイトーンボイスを響かせ、90分におよぶ夢のコラボレーションステージを締め括った。

POWERWOLF

 2日間におよぶ『FULL METAL JAPAN 2026』も、ついに終わりの時間が近づく。もう1組のダブルヘッドライナーであるPOWERWOLFは、日本での知名度はまだまだ低いかもしれないが、今年の『Wacken Open Air』でもヘッドライナーを務めるなど、母国ドイツをはじめとするヨーロッパ圏で絶大な人気を誇る。このライブが日本で人気を獲得するいいきっかけになれば……と密かに願っていたのだが、そんな心配は無用なほど、会場は彼らのステージが始まる前から異様な熱気に包まれ、開始が近づくにつれて「POWERWOLFコール」が自然発生していく。

 荘厳なオープニングSEに続いて、アッティラ・ドーン(Vo)をはじめとするメンバーが姿を現すと、クラシカルなシンフォニックサウンドに乗せて「Bless 'Em With The Blade」にてライブがスタート。曲に合わせて炎やCO2が吹き上がる演出を交えながら、一度耳にしたらシンガロングしたくなるキャッチーなメロディとパワフルなメタルサウンドで、観る者を唯一無二の世界へと引きずりこんでいく。2曲終えたところで、アッティラは「ニホン! You're fantastic! Perfect!」と喜びを表現する場面もあり、終始ポジティブな空気に包まれながらライブは進行していく。かと思えば、曲間にはアッティラとファルク・マリア・シュレーゲル(Key)がコミカルなやり取りを繰り広げ、観客の笑いを誘う一幕も。良質な楽曲や演奏はもちろんのこと、なぜ彼らが海外で愛されるのか、その一端がこうした場面からも感じ取れたことだろう。

 「Demons Are A Girl's Best Friend」に入る前に、アッティラが女性客とコミュニケーションを図ったかと思えば、曲が始まるとフロアまで降りてオーディエンスのそばまで接近するサービス精神も発揮。また、「Where The Wild Wolves Have Gone」では観客がスマホのライトを点灯させ、幻想的な空間を作り上げるなど、バンドと日本のオーディエンスとの絆をどんどん深めていく。そして、「Sanctified With Dynamite」「Blood For Blood (Faoladh)」「Werewolves Of Armenia」といった代表曲の畳み掛けで、90分におよぶ日本での初ステージを完結させた。

 ライブアクト以外にも、本フェスで印象に残ったことを記しておく。まず、ワンステージでの進行ということで転換時間がじっくり用意されており、飲食やトイレ休憩に充てるに十分だったのではないだろうか。かつ、全席指定での観覧ということで、2日間とも8時間を超える長丁場ながらも体力が思ったほど消耗していなかったことにも気付かされた。そのほか、転換中には『Wacken Open Air』オーガナイザーであるホルガー・ヒューブナーやトーマス・イェンセンをはじめとしたここでしか見られない貴重なインタビュー映像が場内で流れるなど、空き時間も来場者を楽しませる工夫が随所に見てとれた。

 また、リストバンド+チケット半券にて会場からの入退場も簡単にすることができたことで、場外のキッチンカーやコラボビールブースも終日盛況ぶりを見せていた。筆者も何度か場外の様子を見に行ったが、多くの来場者が笑顔でフードやドリンクに舌鼓を打つ姿には、不思議とこちらまで笑顔になってしまったことを付け加えておく。

 ニューメタルやメタルコアなどモダンメタルバンドを除く、純粋なHR/HMバンドのみで構成された『FULL METAL JAPAN 2026』は、日本でもかつてない試みだったことだろう。ただ、出演バンドのラインナップからステージの演出、ライブ以外の隅々に至るまでHR/HMファンに楽しんでほしいという運営側の熱量を感じることができた。実際、終演後のSNSでは来場者から称賛の声が多数上がっており、早くも次回開催への期待も高まっている。初回だからこそ、いろいろと手探りな部分も多かった『FULL METAL JAPAN』が、2回目以降にどんな進化を遂げるのか。主催者インタビュー(※1)でも触れられていたが、できることなら『Wacken Open Air』出演者を軸に、正統派HR/HMバンドだけで戦うフェスとして、ここ日本で定着させてほしい。そう願うに十分なほど、魅力的なメタルフェスなのだから。

※1 https://realsound.jp/2026/10/post-2536500.html

■開催情報
『FULL METAL JAPAN 2026 ~Powered by WACKEN~』
日程:2026年10月24日(土)・25日(日)
会場:ぴあアリーナMM
神奈川県横浜市西区みなとみらい3-2-2
開場/開演:12:00/13:00

<出演>
DAY 1|10月24日(土)
MICHAEL SCHENKER GROUP
STRATOVARIUS
LOVEBITES
VANDENBERG
Gus G. & RONNIE ROMERO

DAY 2|10月25日(日)
POWERWOLF
ANGRA feat. KIKO LOUREIRO & EDU FALASCHI
LOUDNESS
PRETTY MAIDS
HIBRIA featuring Iuri Sanson & Renato Osorio

公式サイト:https://fullmetaljapan.com/

関連記事