RIIZEからDiplo、HYUKOH、Dynamicduoまで……Spotifyがソウルに建てた“音楽の家”=『Spotify House Seoul 2026』潜入レポ

3日目:ヒップホップ、そしてルーツ

 3日目は「Respect」と「ROOTS」というテーマのもと、新旧が一堂に会した。ラインナップそのものがテーマを説明している。1990年代から活動を始めた韓国ヒップホップの先駆者、Tiger JK。20年以上にわたってシーンの中心にあり続けてきたDynamicduo。そして、Soul Company、Illionaire Records、Daytona Entertainmentとレーベルの系譜を自ら築き、世代をつないできたThe Quiett。そこに、新しい世代を牽引するHAON、CAMO、Kid Milli & OKASHII、NOWIMYOUNG、Raf Sandou、Lil Moshpitが加わった。

 なかでもLil Moshpitの名は特筆に値する。Sik-Kとの共作『K-FLIP+』で今年、第23回韓国大衆音楽賞「最優秀ラップ&ヒップホップ・アルバム」を受賞した同作は、さまざまな韓国のポピュラー音楽をサンプリングし、現在のヒップホップサウンドへと置き換えてみせた作品だ。そのサンプリング元には、Silica Gelの楽曲もある。前夜のステージに立ったバンドの音楽を、翌夜のステージに立つラッパーがすでに自らの素材として用いていたことになる。

 この日の中心にあったのは、Spotifyがアーティストにオリジナル楽曲を委嘱する「Spotify Singles」から生まれた新曲「ROOTS」だ。この日の出演者のうち8組が名を連ね、「自分たちのルーツを忘れるな」というメッセージのもと、"Respect is the New Cool"をスローガンに掲げていた。音源は9月11日の昼に公開され、翌日、このステージで参加者全員による初のライブと公式ミュージックビデオが披露された。ダンサーのHoney Jによる公式チャレンジの振付クラスも併せて開かれている。世代を束ねるという主題のもと、1990年代から2020年代をつなぐ名前が、ひとつのトラックと、ひとつのステージに集まったのだ。

K-POPのその先を抱えた「家」

 Spotify Koreaのミュージックチームを率いるJohn Hanは、このイベントの狙いをこう語っている。「ファンが音楽を楽しみ、体験する方法を中心に企画した。どのアーティストを目当てに訪れたとしても、新しいアーティストやジャンルを発見し、慣れ親しんだ音楽も新しい視点で楽しんでほしい」。実際、3日間のラインナップはジャンルごとにきれいに分けられていたが、その内実は互いにつながっていた。「RADAR Korea」という同じプログラムが、K-POPボーイズグループと新人ロックバンドをそれぞれ別の日のステージへ連れてきており、あるバンドの楽曲は、翌日ステージに立つラッパーの楽曲にサンプリングされていた。

 多様なジャンルを一堂に集めるという構成は、Spotifyの方向性を示すと同時に、韓国のポピュラー音楽がこのプラットフォームで広げてきた裾野を、目に見えるかたちにしてみせるものでもあった。昨年、Spotifyで韓国アーティストの音楽は20億回以上再生され、インディー音楽のストリーミングは前年比68%、韓国のロックは58%増加した。K-POPという一語で括るには、韓国音楽の地形はすでにはるかに広い。ストリーミングサービスがわざわざ街に「家」を建ててまで示したかったのは、おそらくそれだ。この「家」が来年どんな顔ぶれを迎え入れるのか見届けたい。

LE SSERAFIM×Spotify、ソウルでのプレミアムライブを徹底レポ 新曲の最速披露、美しくも強力な“PURE FLOWERS”が咲き誇る

2nd Studio Album『PUREFLOW pt.1』の正式リリースを翌日に控えたLE SSERAFIMが、グローバルオ…

関連記事