橘ケンチ×岡田武史×ラモス瑠偉、サッカーで育む主体性とフェアプレーの精神 『EXILE CUP』から『W杯』に繋ぐ子どもたちの夢
地域に根差した大会づくりと『EXILE CUP』から芽生える横断的な繋がりへの展望
――あと、昨年からの課題として、地元である今治の人たちにもっと試合を観に来てもらいたいっていうのがあって……今年はFC今治のホームページでも、『EXILE CUP』の決勝大会がここで開催されることを告知していましたよね?
岡田:地元の人たちにももっと観に来てもらいたいなと思って、今年は告知を出してみたんだよね。まあ、どのアーティストがゲストで来るとかっていうのは、なかなか事前に出せないところもあるので、そこは難しいところなんだけど。あくまでも子どもたちが主役の大会なので。あと、今のウチの成績だと「お前ら、そんなことをやっている場合かよ」とか言われそうで……。
――いやいや(苦笑)。
ラモス:でも、岡田さんをはじめ、FC今治の人たちがLDHと一緒になってこういう素晴らしいことをやっているというのは、もっといろんな人に知ってもらいたいですよね。
ケンチ:そうですね。
――ここ、アシックス里山スタジアムで決勝大会が開催されるのも今年で4回目になるわけで……地元の人はともかく、サッカー関係者のあいだではそれなりに周知されてきたんじゃないですか?
ケンチ:ありがたいことに、各地の予選大会とかに行ってコーチの方々とお話ししていても、だんだんとそういうイメージが定着してきているようなところはあると思います。甲子園や花園まではいかないけど「今治で開催される決勝大会を目指そう!」っていう。
岡田:いや、サッカー関係者のあいだではだいぶ定着してきたと思うよ。ここを目指して頑張っている指導者も結構いるというか、俺のところに電話が掛かってくるもん(笑)。今日来ているヴィクサーレ沖縄FCっていう九州代表のチームがあるじゃない? あれは元ヴェルディの加藤久が総監督をやっているチームの子どもたちなんだよ。
――あ、そうなんですね。
岡田:あと、今年は来てないけど、2015年、2016年と2年連続で優勝した、大阪のEDCっていうチームがあるんだけど、あそこは元ヴェルディの廣長(優志)が見ているチームで……あそこ、めちゃくちゃ強いんだよ(笑)。なので、子どもたちが交流する催しもどんどんやっていきたいんだけど、彼らを連れてくる指導者たちの交流みたいなものも、もっとやっていきたいとは思っているんだよね。せっかくみんな、今治まで来てもらっているわけで。
――去年の座談会で岡田さんがおっしゃっていた「アルムナイ」じゃないですけど、『EXILE CUP』を通じて横断的な繋がりができていったら、ちょっと面白いですよね。
岡田:そうそう。これまで参加してくれたチームの連絡先とかは、一応全部把握しているんでしょ?
ケンチ:そうですね。チームの連絡先はもちろん把握していると思うんですけど、子どもたちの連絡先やその後の進路までは、正直なかなか把握できていないところがあって。日本代表に選出された話も、実は今年初めて知ったようなところがあって(笑)。
――そこは、いろいろと難しいというか、自己申告してもらわないと、なかなか把握できないところがありますよね。
ケンチ:そうなんですよ。
ラモス:でも本人たちは、絶対覚えているよね。特に決勝大会まで行った子たちは。
岡田:わかった。今度、日本代表が集まったときに聞いておくよ。「小学生の頃、『EXILE CUP』に出たことあるやつ、いる?」って。
――(笑)。ただ、先ほど名前を挙げた荒木選手もそうですが、『EXILE CUP』はそれぐらい将来活躍する可能性のある子どもたちが普通に参加している大会になっているわけで……それは、レベルが高いわっていう。
ケンチ:そういう意味でも、今治の人たちにはもっと見てもらいたいというか、今治のみなさんともうちょっと一緒になってやれるような感じが今後出てくるといいかもしれないですよね。
ラモス:そうだね。みんな朝から来るのは大変かもしれないけど、午後の試合――準決勝ぐらいから来てもらっても、きっと面白いと思うよ。試合自体はすごく面白いので。
――FC今治はユースの活動も行っていますよね。FC今治のジュニアチームが、開催地枠で参加するというのは、どうですか?
岡田:ああ……今年の予選に出たけど、負けたらしいよ。
――そうだったんですね……。
ラモス:そこは、開催地枠でいいんじゃないかな。FC今治のスタジアムを、毎回使わせてもらっているわけだし。
――FC今治の子たちが参加するなら、サポーターや地元の人たちも応援しやすいでしょうし。
岡田:でもさ、うちのチームの子どもたちがボコボコにやられるのはあんまり見たくないんだよな(笑)。
ラモス:そこは大丈夫だよ。志郎ちゃんに言っとくから。
――あ、FC今治のユースは、今年から元ヴェルディの菊原志郎さんが見ているんですよね?
岡田:そう。志郎が今治に来てくれて……志郎のチーム、すごく良いんだよ(笑)。
ラモス:あの人、天才だもん。15歳で契約して、16歳でプロデビューしているから。本当すごいことだよ。昔はそんな選手いなかったから。プレーは天才的だし、教えるのもすごく上手い。絶対これからいい選手が出てくると思う。
――そんなFC今治のユースにも注目しつつ、最後に『EXILE CUP』の今後の展望や、抱負みたいなものがあれば、ひと言ずつお聞かせください。
ケンチ:そうですね……来年も、もちろん開催するつもりというか、自然災害系のことはなかなか読めないところがありますが、いろんな準備や対策をしながら、我々運営チームとしては引き続き頑張っていきたいと思っています。あと、先ほど岡田さんとラモスさんが言っていた、フェアプレーの精神を盛り込むことも、今後具体的にやっていきたいというか。宣誓みたいなことも含めて、子どもたちが主体的になれるような取り組みを、自分たちがこの大会を盛り上げるんだっていう感覚を持ってもらえるような企画や施策みたいなものも今後いろいろと考えていきたいなって思っています。
――スタッフやレフェリーも含めて、関わっている人たちをリスペクトする姿勢を子どもたちに持ってもらうことはきっと大事なことだし、この大会の主旨のひとつでもありますよね。
ケンチ:そうですね。すぐには理解できなくても、大人になってから「あれは、そういう意味だったのかな?」って振り返るタイミングが絶対あると思うんです。なので、そういうリスペクトの精神はもっと盛り込んでいきたいなって思っていますし、サッカー関係者ではない僕たちLDHがこの大会をやっている意味もそういうところにあると思っていて。そうやって引き続き、子どもたちが夢を持てるような機会、夢を持つことの素晴らしさをわかってもらえるような大会になるよう、いろいろとブラッシュアップしながらやっていきたいと思っています。
ラモス:岡田さんがよく言っているように、韓国とかタイとか、アジアの子どもたちのチームが1チームぐらい混じっていてもいいよね。言葉がわからなくても、一緒にボールを蹴ったら、仲良くなれることもあるだろうし。そういう交流の機会になったら子どもたちにとっても、良い思い出になるんじゃないかな。
岡田:そうだね。毎回言っているように、この大会は単に試合をして、チャンピオンを決めるだけじゃなくて、他の大会ではできないようなこと――毎年やっている環境教育とかもそうだけど、それこそ今、ラモスが言ったような国際交流プログラムみたいなことも今後はやっていきたいなって思っていて。そのあたりは引き続きいろいろ考えていきたいと思っているのと、決勝大会の運営に関しても――今日、会場のアナウンスをしていたのは、僕が学園長をやっているFC今治高校の生徒だったんだけど、あの連中に声を掛けたら、もっといろいろやってくれると思うんだよね。うちの高校は、ちょっと変わった高校で、「探究」とか「プロジェクトラーニング」みたいなものに重きを置いていて……それこそ、「この大会を今治の人たちに知ってもらうためには、どんなことをしたらいい?」とか課題を出したら、喜んで取り組むと思うよ。あいつらは、ずっとこっちにいるわけだし、いろいろやりよるんじゃないかな。うちの高校生たち、ホントすごいから……。
ケンチ:それ、めちゃめちゃいいですね。それは、どなたにご相談すればいいですか?
岡田:やっぱり校長と話すのがいちばん早いんじゃないかな。辻正太っていう面白いやつが、校長をやっていて……今度、俺のほうからも、ちゃんと話しておくよ。
ケンチ:是非是非、よろしくお願いします(笑)。