横山裕「あなたもロックスターやったわ!」 『ROCK FOR YOU』ファイナルで鳴らした愛情と信念のロック

 SUPER EIGHTの横山裕が、ライブツアー『ROCK FOR YOU LIVE TOUR』を開催した。昨年、武者修行と銘打ちスタートした『ROCK TO YOU』プロジェクトも2年目を迎え、ささまざまな経験を経て制作されたミニアルバム『ROCK FOR YOU』を携えて、全国12都市19公演を巡った。本稿では、10月7日に東京ガーデンシアターで行われたツアーファイナルの模様をレポートする。

『ROCK FOR YOU』で示したロックスターの在り方

 ツアー最終日特有の期待感と寂しさが漂う客席は、開演の時を待ちわびていた。SEのボリュームが上がり、暗転。ステージ全面を覆いつくす白幕に、横山のソロプロジェクトで見せてきた姿が次々と映し出されていく。VTR最後には「FINAL」の文字が浮かび、客席の温度が一気に上昇した。

 力強いバンドサウンドが会場中に鳴り響く中、ステージを覆う幕に横山のシルエットが浮かび上がる。横山のシャウトとともに幕が落ち、ライブがスタート。

 1曲目は「約束」だ。序盤は暗転したまま、サウンドと横山の声だけが鳴り響き、重厚なロックミュージックにオーディエンスを引き込んでいく。明転し、黒のスーツにカラーグラスを身に着けた横山の姿が現れると、歓喜の声が湧き上がった。ハンドクラップとコーラスで空間全体が熱気に包まれると、その熱量そのままに「満月」へ。〈会いたい人、大切な人、愛してる人。〉の歌詞に合わせ客席を指さし、力強いボーカルを響かせていく。

 「ぶちあがろうぜ!」と宣言し、インストに合わせたバンドメンバー紹介では、ファンも大きな声でステージを盛り上げる。そして「あなたを幸せにしたいねん! それがロックスターってやつやろ?」と曲紹介。「ロックスター」へと続いた。感情を思い切り解放するように歌い上げ、バンドとのセッションを心の底から楽しんでいる様子だ。

 「ピストル」では、この曲を待ち望んでいたファンから歓喜の声が起こり、拳を突き上げ、ボルテージを上げていく。激しいライティング、ハードなサウンド、観客の情熱が空間を満たす中、まっすぐな横山のボーカルが〈撃て〉の歌詞に合わせて突き抜けていった。

 ここまでの表情から一転、朗らかな笑顔を見せたMCタイムで「乾杯しません?」と客席に呼びかけ、アットホームな雰囲気で進められた。今回のツアーはライブハウスを回り、最終公演は大きな会場でのライブということで「久々に、たくさんのあなたに会えて嬉しい」とファンと細やかにコミュニケーションを取りながら、ツアーの思い出などが語られた。

 アコーディオンやアコースティックギターを取り入れ、新たにアレンジされた「Kicyu」は、さらなる温かみが加わり、ほんのりレトロな空気を漂わせた。キュートなサビの振り付けで客席が一体となり華を添え、柔らかなムードが会場を包んでいく。

 ジャケットを脱ぎ、黒いシャツにボルドーのネクタイ姿になると、ここから激しい楽曲をノンストップで披露。等身大で普遍的なテーマを横山流に紡いだ「ないものねだり」では、手を左右に大きく振り、ファンとステージの一体感はより強まっていく。明るく軽快な中に重厚な言葉の数々をのせた「感情迷子」では「あなたの歌を!」と声を求め、ファンも大きなシンガロングで応えていく。

 「ど真ん中」では、冒頭ロングトーンのシャウトでその熱さをぶつけた。ストレートな歌詞の中に描かれた横山自身の数多の経験や、善性を信じる心を、より厚みを増したボーカルで届けていく。そのエネルギーに感じ入る観客を見つめ、頷きで愛情を示すと、人気曲「シールド」へ。「今日という日は今日しかない、やるぞ、やれるぞ!」と叫び、疾走感あるメロディに思いをのせると、ファンの激しさもさらに増していく。ハードな音で素朴な感情を歌い上げた「HERO」、ハンドクラップとコール&レスポンスでキュートな歌詞をさらに盛り上げた「プリン」とまだまだスピード感のある楽曲が続いていく。

 この日、ひときわ大きなカタルシスを生んだのは「黄金期」だろう。モニターに次々と少年漫画風な吹き出しとともに歌詞が映し出される。“今”にフォーカスした言葉の数々から、まさに今ここにある温度が本物であることが証明されていく様は、どこまでもピュアで圧巻だった。

 怒涛のブロックを締めくくったのは「プライド」だ。オーディエンスに歌声を求めるようにギターをかき鳴らし、体を揺らす。会場の隅々まで指差し、心の距離をぐっと客席に近づけたようなパフォーマンスだ。「何度だって言う。やらんよりやった方がいい! 信じてんねん!」と叫ぶその姿は、間違いなくロックそのものだったと思う。

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