香取慎吾、“小さな場所”から始める時代の開拓者 SMAPと重なる歩み――宮根誠司との対話から見えた挑戦を楽しむ生き方
香取慎吾のレギュラー番組『しんごの芽』(読売テレビ)に、10月のマンスリーMCとして宮根誠司が登場している。宮根といえば、10月2日に20年続いた『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ/日本テレビ系/以下、『ミヤネ屋』)に幕を下ろしたばかり。そんなタイミングとあって、10月3日放送の初回は、さまざまなテレビ企画のタネを検証するいつもの流れではなく、ふたりのトークのみで届けられる異例の展開になった。
『しんごの🌱』
10月のマンスリーMCは...#宮根誠司 さんに決定!10月からは福岡放送、熊本県民テレビでの放送もスタート!さらに、熊本県での“番組初”の公開収録も決定!
今後の放送もぜひお楽しみに!https://t.co/s7Le8x18Nw#しんごのめ #香取慎吾 #新しい地図 pic.twitter.com/TvLt9lLbKS— 新しい地図 (@atarashiichizu) September 26, 2026
『ミヤネ屋』は宮根が43歳のときにスタートした番組だった。関西で絶大な人気を博し、その勢いのまま全国ネットへ。もちろん、多くの人の目に触れることによって、さまざまな声も届いたという。“嫌いなアナウンサー”として名前が挙がり続けること。それもまた、人々の暮らしのなかに存在感を放ち続ければこそだ。好感度の高いアナウンサーの番組を“王道”とするなら、“あぜ道”が空いていたのだと喩えた宮根。「今となってはありがたかった」と言って笑う。20年という月日を経て、お茶の間にとっても、そして何よりも本人にとって、そこにいるのが日常になっていくのだ。
そんな自らが固めてきた道を、このまま歩み進めることもできただろう。むしろ、63歳という年齢を踏まえれば、それが多くの人が選ぶ道のようにも見える。だが、宮根は「最後のチャレンジなのでやめさせてください」と申し出たという。次に何をするのかはまだ決まっていない。でも、「何か新しいことを始めるんだったらやめなきゃいけない」という気持ちが先にある。「よし、やるぞ」とはなっているものの、「何をするかはまだこれから」。そんな心境を語る宮根に、香取は「10年前、僕も同じ感じでした」「新しい一歩を踏み出そうとしたんです、何もなく」と言葉を添えた。宮根は思わず立ち上がって「いっしょだ、今! アドバイスちょうだい!」と手を伸ばすと、香取もその手に応えるように自らの手を差し出しながら、「いっしょです」と笑うのだった。
もちろん、まったく同じというわけではない。2016年に『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)が終了し、翌年に新しい地図を広げた香取。その出発に至る経緯は、新しい挑戦のために番組をやめると自ら決めた宮根とは異なる。職業もアイドルとアナウンサーという違いもあるし、年齢だって当時を考えると20歳近く差がある。それでも、香取は20年続いた番組を終える重みを知っている。更地から新たな一歩を踏み出し、具体的な活動を形にしてきた実体験もある。宮根に向けて差し出された大きな手は、自らの経験をもって相手の言葉を受け止める香取の器の大きさを感じさせた。
そんなトークが『ミヤネ屋』のセットで、香取が司会者席、宮根がコメンテーター席に座って繰り広げられるのも、また面白い構図だった。これまで言葉を引き出す側だった宮根が、香取に次々と本音を語っていく。「今は幸せなことに、もうちょっと休ませてほしいくらい忙しい」と話す香取。その言葉に宮根は、「それを聞くと僕も忙しさから逃げている自分がいたのに、『忙しくてうらやましい』っていうのが、今ものすごいズドンときた」と応じる。香取が語る景色が、「少しゆっくりしよう」と思っていた宮根の心に火をつけたようにも見えた。
今回は植木鉢セットを飛び出し、ミヤネ屋のセットでトーク!
ミヤネ屋終了後、初のバラエティ出演!
ぜひご覧ください!https://t.co/y7kvfcpC2b pic.twitter.com/fvIbZWPNVj— しんごの🌱【公式】 (@shingonome_ytv) September 28, 2026
20年続いた長寿番組の司会者となれば、その先の挑戦について、自身の経験を重ねて話してくれる相手はそう多くないだろう。宮根も、誰にも理解されない不安と戦う覚悟を持っていたのかもしれない。ところが、それぞれの抱える事情は異なれど、「いっしょ」と手を差し伸べてくれる香取がいた。思わず「アドバイスちょうだい」と言いたくなったのは、挑戦の“その先”を楽しんでいる香取に、心強さと希望を感じたからだろう。
そして香取は、宮根に「歌うのはどうですか?」と投げかける。歌うことは好きで、SMAPの「ダイナマイト」もよく歌っていたという宮根。続けて香取は、宮根が司会を務める『ベストヒット歌謡祭』(読売テレビ/日本テレビ系)のオープニングで歌ってみるのはどうかと提案して笑いを誘った。相手の言葉を受け止めるだけでなく、「だったら、こんなこともできるのでは」と会話を広げていくところも、実に香取らしい。
その話を「また叩かれるだろうな」と懸念する宮根は、『しんごの芽』についても「天下の香取慎吾をこんな小っちゃな家(のセット)に入れて、『レギュラーやりませんか?』って言う読売テレビの勇気がすごい」と驚きを隠せない。セットの規模で言えば、非常にミニマルな作り。だが、それを香取は「東京でもどこでも収録できるんですよ」と身軽さをアピールしていく。その掛け合いにも、これまでの常識を脱ぎ捨てて新しいことを始める面白さが詰まっていた。
つくづく、香取慎吾という人は、この時代の“開拓者”なのだと思う。SMAPも最初に立っていたのは、デパートの屋上の小さなステージだったと振り返る。そこからドームへ、さらにスタジアムへと活動の場を広げ、アイドルの新しい道を切り開いてきた。その歩みを経た香取だからこそ、何度だって小さな場所から新しい挑戦を楽しむことができるのだろう。
積み上げてきたものがある大人も、いつだってまた新しいことを始めていい。何をするかが決まる前に、誰かと「こんなことしてみたい」と話してみてもいい。香取は今、大人たちの新たな可能性を肯定する存在として、私たちを照らしてくれているように思う。