湘南乃風にとって初の対バンツアーだった『お見合いツアー 2024』。ヤバイTシャツ屋さん、山嵐、FOMAREを迎えた各公演を経て、10月17日のツアーファイナルを盛り上げたのは氣志團。綾小路 翔（Dragon Voice/MC/Gt）が隣の中学の先輩で、地元にいた頃から交流があったのだという湘南乃風のセレクター・The BK SoundのDJプレイが、開演前から観客を大いに沸かせていたこのライブの模様をレポートする。

　RED RICE、若旦那、SHOCK EYE、HAN-KUNの声が開演を告げる号砲だった。「東京湾を越えて房総半島から、ヤベえやつらがきてるよ。一緒に呼びたい。みんなで行くぞ！　氣志團！」――若旦那と観客が叫んだ直後に聴こえてきたのは、ガラの悪いエンジン音のSE。そして叶 亜樹良（Dr）のドラムソロが先陣を切り、綾小路、早乙女 光（Dance/Scream）、西園寺 瞳（Gt）、星グランマニエ（Gt）、白鳥松竹梅（Ba）バックダンサーの微熱DANJIが登場。そこから「俺達には土曜日しかない」がスタートした。躍動するビートと息の合ったダンスに誘われてKISSES（氣志團ファンの呼称）はもちろん、風一族（湘南乃風ファンの呼称）も踊り始めたフロアのムードが明るい。続いて「房総魂」と「萌え萌えROCK'N'ROLL」も披露され、Zepp DiverCity(TOKYO)はどんどん楽しい空間と化していった。

　2マンライブに誘ってくれた湘南乃風への感謝とリスペクトを全力のパフォーマンスで示していた氣志團。「BOYS BRAVO!」は、湘南乃風の「覇王樹」を途中に盛り込む粋なアレンジが施されていた。そして、その直後に突入したのは、「One Night Carnival」と「睡蓮花」のマッシュアップ。「あれ？　HAN-KUNも一緒に歌ってる？」と一瞬思ったのだが、よく見るとターバンを巻いたマツ（白鳥松竹梅）。若旦那のパートを歌う時は、わざわざターバンを取るという芸の細かさを発揮していた。

　「風一族のみんな、はじめまして！　2マンでやるのは初めて。一緒にやれてることが嬉しいです」と挨拶をしたのち、10月27日に開催される『YAMAGATA ROCK FES』と11月10日の『氣志團万博2024 〜シン・キシダンバンパク〜』でも湘南乃風と共演する旨を語った綾小路。すると高校野球の開会式の際に掲げられるプラカード風のQRコードを手にしたメンバーたちが球児のように整然と行進しながら現れた（さり気なく若旦那も紛れ込んでいる……）。QRコードをスマホで読み込むと『氣志團万博』のチケット購入サイトに飛べるようになっていた。ライブ告知もエンタテインメントにしてしまう氣志團の創意工夫は、本当に素晴らしい。

　夕暮れ時の木更津の風景を感じさせてくれた「落陽」を経て、「One Night Carnival」が、彼らのライブのラストを飾った。「俺たちの最高の兄弟分を紹介するぜ！　カモン、湘南乃風！」――綾小路の呼び込みでRED RICE、若旦那、SHOCK EYE、HAN-KUN、The BK Soundが登場。元気いっぱいに歌って踊った彼らの姿は、楽しいと同時に感動的でもあった。長年にわたって音楽シーンでともに戦っている氣志團と湘南乃風。地元の仲間である綾小路とThe BK Sound――同志の絆とあたたかな関係性が伝わってくる共演だった。歌い終わった後、感想を語り合った両グループ。斬新なアレンジだった「BOYS BRAVO!」や「One Night Carnival」と「睡蓮花」のマッシュアップを聴いたRED RICE、若旦那、SHOCK EYE、HAN-KUNは、楽屋で大盛り上がりしていたのだという。HAN-KUNはステージの様子を映すモニターを見て「俺が出てる!?」と思ったらしい。