Vaundyの新曲「ZERO」が、10月17日よりオンエアされるSpotifyテレビCMに起用された。またSpotifyのYouTubeチャンネルでは本日10月16日より同CM映像が公開されている。同曲は、11月15日にリリースするニューアルバム『replica』の収録曲で、9月に事前告知なしでサプライズ配信リリースされ話題になったのも記憶に新しい。CMは本人がナレーションを務めるとあって、こちらも注目を集めそうだ。

　2019年頃に音楽シーンに登場し、瞬く間に急成長を遂げたVaundy。いまや彼の曲を耳にしたことのない人は日本にはほとんどいないと言っていいだろう。何しろVaundyのここ数年でのタイアップ実績は、CMソングをはじめ、ドラマ主題歌やアニメのテーマソングに至るまで数知れない。そうした活動で着実に力をつけた結果、昨年ついに『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たした。ストリーミング世代を象徴する存在と言われるVaundyの音楽は、もはやお茶の間にまで浸透している。今回のCM起用はその流れをさらに推し進めるものとなるだろう。

　これまでの活動を振り返ると、SpotifyとVaundyの関係は深いことがわかる。2020年にはすでにSpotifyがその年の躍進を期待するネクストブレイクアーティスト10組をピックアップする「Early Noise 2020」に藤井 風やRina Sawayamaなどと選出されている（2020年3月のイベント『Spotify Early Noise Night』にも藤井 風、JP THE WAVY、Momとともに出演する予定だったが、時勢を鑑みてあえなく開催中止となった）。また、Spotify Premium 全国地上波テレビCM「Spotify Town」編に彼の代表曲の一つ「不可幸力」が起用されたこともあった。さらに昨年はSpotifyで新しくローンチされた「Go Stream」にてビデオシングルの配信もしている。こうした新しい取り組みでもいち早く協力し合うのは、両者の間に強い信頼関係があるからこそだろう。

　今回のCM起用に際し、Vaundyは以下のようにコメントしている。

「Spotifyとは初めてのTVCMソング起用や、Go Streamでのライブ映像制作など色々な取り組みをしてきましたが、毎回枠にとらわれずに新しいことをやらせてもらえてとても面白く感じています。今回もこのような、曲にフィーチャーしたCMを作っていただき嬉しかったです。ナレーションやCM内に登場するVaundyグッズにも、ぜひ注目してみてください」

　今年3月にリリースした「そんなbitterな話」が先日、Billboard JAPANチャートにおいてストリーミング累計再生回数1億回を突破したことでも話題をさらったVaundy（※1）。チャートイン25週目での1億回突破は「踊り子」の記録（チャートイン27週目で突破）を抜き自身最速だという。Vaundyの楽曲で再生数1億回を超えたのはこれで11曲目。男性ソロアーティスト1位の記録を更新中だ。

　ストリーミングサービスが定着したこの時代に、Vaundyの躍進はあった。Spotifyユーザーの多くがVaundyの音楽を好み、Vaundyファンの多くがSpotifyを利用する。両者は二人三脚で成長してきたと言っても過言ではない。そんな両者が今回、再びCMでタッグを組んだのだ。

　新CMは、弱気な主人公が音楽をきっかけに前に踏み出すストーリーを描く。鬼の形相で気合を入れる主人公が対峙しているのは実はジェットコースターで、乗り込む前にVaundyの「ZERO」を聴いて心を奮い立たせていたというちょっぴりユーモアのある内容に。「その一曲で、踏み出せる一日がある」というキャッチコピーにもあるように、日常の一コマに音楽が寄り添うようなこのCMは、手軽に作品に触れられるSpotifyらしいものと言える。

　「ZERO」は、大きな会場で観客が熱狂する光景が思い浮かぶような、激しいギターロックサウンドが印象深い。まさに聴く者を鼓舞する力強いエンパワーメントソングだ。CMの主人公が前へと踏み出せたように、聴いた人の気持ちを前向きに変えてくれる一曲となるだろう。

　CMでは英語で歌っているようだが、正式な歌詞はないらしい。そうした斬新な取り組みもCMの話題性に一役買うに違いない。「この曲は純粋に作りたくて作った曲です。歌詞はないですが、音やメロディから伝わるものを自由に感じとってもらいたいです。好きな時に、好きな場所で、楽しんで聴いてください」と、「ZERO」という楽曲の楽しみ方についても話すVaundy。彼の勢いは、この先まだまだ止まることはなさそうだ。

※1：https://vaundy.jp/news/detail/10306